1988 Fiscal Year Annual Research Report
植生が降雨一流出系の流出過程に及ぼす影響とその流出構造について
Project/Area Number |
62550369
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Research Institution | University of Utsunomiya |
Principal Investigator |
長谷部 正彦 宇都宮大学, 工学部, 助教授 (80042307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日野 幹雄 東京工業大学, 工学部, 教授 (30016323)
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Keywords | 植性 / 土壌水分量 / PF値 / 蒸発散量 / 浸透 |
Research Abstract |
水文現象の降雨一流出系の内で表層土壌における雨水の水分移動すなわち雨水の貯留・流出・蒸発散による消失は、降雨(入力)から流出(出力)に変換する場の流出過程に大きな役割を占め、特に流出の損失機構と密接な関係をもつ。それゆえ、裸地、草地(芝地)、根系を含む植性の状態は、それらを支配する重要な因子であることを考えて、宇都宮大学の構内の流出試験地を対象とした観測実験により雨水の土壌水分の移動特性を明らかにする。昭和63年度の当初の研究計画・方法に沿って実施し、その結果を以下に示す。 1.解析単位が20分単位の降雨と土壌水分張力(PF)及び土壌水分率(Mv)の関係では、草地が最初に土壌への浸透に対する応答を示し、続いて裸地となっている。木の根元は、ほとんど応答しない。また、降雨終了と共に、裸地は急激に乾燥状態に戻ろうとするが、草地ではある一定時間湿潤状態を保っている。 2.最大土壌水分量に達するまでのMvの増加量と応答時間及び積算雨量の関係では、応答時間は、降雨の規模により異なるが、一般的には、草地が最も速くかつMvの増加量も大きい。木の根に関しては応答時間は最も遅いが増加量は裸地と差異がない。次に積算雨量について述べる。裸地では、少量の積算雨量でピークに到達するが、Muの増加量は小さい。草地では、裸地ほどではないが少量の積算雨量でピークに到達し、しかも増加量も大きい。木の根は、草地と裸地の中間である。 3.蒸発散量算定の基礎となる表面からの蒸発散量の測定を裸地、草地及び木の根と行い、蒸発散量は、裸地、木の根、草地の順に大きい。裸地と草地では、裸地は草地の倍のオーダーの蒸発散量である。木の根に関しては土壌の採取が極めてむづかしいため裸地と同じ様な結果となった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 長谷部正彦: 水理講演会論文集. 第32回. 65-70 (1988)
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[Publications] 長谷部正彦: 水文・水資源学会1988年研究発表会要旨集. 第1回. 68-71 (1988)
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[Publications] 長谷部正彦: 関東支部技術研究発表会講演概要集. 第15回. 144-145 (1988)
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[Publications] Mikio Hino: Journal of Hydrology. 90. 303-325 (1987)