1989 Fiscal Year Annual Research Report
農地信託制度を活用した高齢化農村の医療福祉サ-ビス体系整備に関する研究
Project/Area Number |
62550437
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
友清 貴和 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (70150539)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
染川 浩 鹿児島大学, 工学部, 助手 (60145456)
松井 宏方 鹿児島大学, 工学部, 教授 (70165752)
|
Keywords | 農地 / 信託制度 / 医療福祉 / サ-ビス体系 |
Research Abstract |
本研究では、後継者が不在の高齢化農家世帯の営農状況・農地流動化の現状・老後の住まい方に対する要望等聞き取り調査を行なった。鹿児島県下五町の中から、三町において、農地の位置・利用実態・作付種目等を地図上にプロットした。さらに、町全体の総合的土地利用計画図を作成し、これに基づき、高齢化農家世帯の農地の信託と売買を仮定し、信託を行なった場合の収益モデルを作り、その有効性を検討した。さらに、土地所有関係・高齢者の意見を加えながら、農地の信託制度そのものの持つ問題点を明らかにし、その解決のための方策を、フィジカルな土地利用計画と政策課題の両面から、具体的メニュ-として提示した。 高齢者が手ばなそうとしる農地の収益試算を、信託と売買の二面から行なった結果、所有する農地の位置・土地利用計画のあり方によって、収益が大幅に異なる。さらに、現在の小作料を基準に算定した信託収益は、農地売却収益に比べると収益率が低く、1.67〜2.65%にしかならない。この収益率は預金金利に比べて低率であり、売買価格の高い農地ほど収益率は低いという矛盾を含んでいる。すなわち、農地の売買価格や信託収益は、現在の農地の生産性に比例し、農地以外の地価とは掛け離れているため、農地を転用しないで収益を上げても、都市並みのサ-ビス購入費に見合わないことの証拠でもある。 しかし、農家世帯の高齢化に伴い農地の耕作放棄を是認することは、農業問題やむらづくりの面など、政策的にみても問題が大きい。このため第三セクタ-に対する農地の信託または譲渡を念頭にした信託の場合に限定して、価格の上乗せをはかる必要があろう。そして積極的に信託地を集約化し、生産性の向上を進めなければならない。これらの資金は現在多額の投資が当てられている農業基盤整備費の一部を、農地荒廃防止・流動化促進基金として活用することが考えられる。
|
-
[Publications] 永田太基,友清貴和,米盛和之,三木建治: "農地信託制度を活用した高齢化農村の医療福祉サ-ビス体系整備に関する研究・その4 農地信託制度導入の問題点" 日本建築学会大会学術講演梗概集(九州). E. 947-948 (1989)
-
[Publications] 三木建治,友清貴和,米盛和之,永田太基: "農地信託制度を活用した高齢化農村の医療福祉サ-ビス体系整備に関する研究・その5 農地流動化の現状" 日本建築学会大会学術講演梗概集(九州). E. 949-950 (1989)
-
[Publications] 永田太基,友清貴和: "農地信託制度を活用した高齢化農村の医療福祉サ-ビス体系整備に関する研究・その3 土地利用計画に基づいた信託収益試算" 日本建築学会研究報告 中国・九州支部. 第8号・3. 105-108 (1990)