1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62550490
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森永 健次 九州大学, 総合理工学研究科, 教授 (70038074)
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Keywords | 二成分GeO_2系 / 核生成-成長型分相 / 連結-合体 / 凝集力 / 二成分B_2O_3系 / 二液相 / 相分離係数 |
Research Abstract |
お互いに混合しない二種類の液体からなる分散系はエマルジョンまたは乳濁液と呼ばれている。エマルジョン技術の実際的応用は広範囲にわたり、食品、化粧品、製薬、アスファルト製品などの製造において重要な役割を果たしている。一方、高温が関与する酸化物系融体の液一液間の不混和については、アルカリ、アルカリ土類ケイ酸塩系融体を中心に、その組成、温度領域は確立されているものの、二液相分離状態に関する詳細な研究例はなく理論的にも検討されていないのが現状である。 本研究では二成分B_2O_3系の二液相分離状態の経時変化をホットサーモカップル法を用いて観察した。また、ホットサーモカップル法とルツボを用いて作製した急冷相分離ガラスを用いてその相分離状態の定量的評価を行うとともに、二液相分離過程に影響を与える融体の諸物性値についても検討し、そのプロセスについて考察した。 ホットサーモカップル法ではジャンクションの左右に相分離していたのに対し、ルツボでは上下二相に相分離していた。これはホットサーモカップル法では試料融体の熱攪拌により擬無重力状態にあり分散粒子の密度の影響がなく、表面張力の影響が大きいためであり、ルツボでは重力場であるため分散粒子の密度の影響が大きいためであると推定した。 二成分B_2O_3系の均一な融体を二液相領域に急冷し等温保持すると、微細な液体粒子が分散した白濁状態から完全に二液相に分離した状態へと変化し、この相分離過程が分散粒子の連結合体による粒子の粗大化過程と、分散粒子の移動とによって進行することを明らかにした。さらに相分離状態の定量的評価を可能とする相分離係数Ωを定義し、Ωが分散粒子の体積分率Vfおよび融体の表面張力γ、密度ρ、粘度ηによって支配されることを示すとともに、これらの物性値により相分離状態を分類整理した。
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[Publications] 中島邦彦、森永健次: 窯業協会誌. 95. 429-434 (1987)
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[Publications] Kenji MORINAGA;Kunihiko NAKASHIMA: Journal of Non-Crystalline Solids. 103. 108-116 (1988)
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[Publications] 中島邦彦、太田能生、森永健次: 日本金属学会誌.
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[Publications] Kunihiko NAKASHIMA;Yoshio OHTA;Koichi HAYASHI;Kenji MORINAGA.: Transaction of the Japan Institute of Metals.