1987 Fiscal Year Annual Research Report
重金属系廃液処理技術-フエライト法-の補完に関する研究
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62550557
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白須賀 公平 東京大学, 環境安全センター, 助教授 (60011003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 良實 東京大学, 環境安全センター, 助手 (40163026)
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Keywords | 実験廃棄物 / 重金属系廃液 / フエライト法 / フッ化物イオン / イルメナイト / 硫酸チタニル / 加水分解物 / 吸着特性 / アナターゼ型ゲル状物質 |
Research Abstract |
大学, 研究機関の教育, 研究に伴って発生する実験廃棄物の処理の1つとして, フエライト法が多くの大学などで採用されている. フエライト法は, 重金属系廃液の処理技術としてはたいへんすぐれた面をそろえているが, 総合的な無機系廃液処理システムとしては大きな欠点をもっている. それは陰イオンに対する対応がまったくないということである. 一方, 大学などで発生する実験廃液には, 最近の先端技術研究を反映して, フッ化物イオンが多量に混入した重金属系廃液が処理施設に搬入されてくるケースが増えている. こうした廃液をできれば, イルメナイト微粉末を利用して一括的に処理できないかと考えたのが, この研究の当初の発想であったが, 基礎的な実験を重ねていくうち硫酸チタニルの加水分解物が, すぐれたフッ化イオン吸着能をもつことがわかり, 同時一括処理の効率のわるいこともあって, 研究の重心を硫酸チタニルの加水分解物によるフッ化物イオンの吸着除去の基礎的研究に移した. (このことは, 交付申請書に書いた. ). 硫酸チタニルは, イルメナイトを原料としてえられるチタン工業の中間生成物で, 工業薬品として入手しやすいものである. 硫酸チタニルの加水分解は, 従来, TiOSO4+2H2O→TiO(OH)_2+H2SO4と考えられ, TiO(OH)_2の水酸基の一部がフッ化物イオンと置換するのではないかとされてきた. この研究で, 酸性側で加水分解した場合, アナターゼ型ゲル状物質, アルカリ側の場合, 非アナターゼ型ゲル状物質であることがエックス線回折の結果明らかになった. pH4付近ではすぐれたフッ化物イオン吸着能を示し, これをアルカリ性(例えば, pH9)にすると, 吸着したフッ化物イオンを外し, pH4にもどすと, 再びアナターゼ型ゲル状物質となるとともに, フッ化物イオン吸着能が復元するというリカバリーの可能な吸着特性のあることが認められた.
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