1988 Fiscal Year Annual Research Report
リチウム固溶ケイ酸塩の薄膜化および、その電導度測定
Project/Area Number |
62550559
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
脇原 將孝 東京工業大学, 工学部, 助教授 (20016596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 隆 東京工業大学, 工学部, 助手 (10126310)
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Keywords | リチウムイオン導電体 / リチウム固溶ケイ酸塩 / 全固体型リチウム二次電池 |
Research Abstract |
リチウム固溶ケイ酸塩はリチウムイオン導電体であることが、すでに確認され、全固体型リチウム二次電池の電解質として注目されつつある。我々は前年度までにリチウム固溶ケイ酸塩Li_<4-2x>MgxScO_4(LMS)粉末を、炭酸リチウム、二酸化ケイ素、酸化マグネシウムから高温反応により合成できる条件とその固溶領域(0<X<0.5)を確立し、論文発表した。さらにLMS粉末を用いて、1)蒸着法、2)超急冷法、3)スパッタ法の3通りの方法により薄膜化を試みた結果、3)のスパッタ法が最も均質な、かつ安定な薄膜となることがわかった。薄膜化は電解質自身のインピーダンスを減少させ、また近い将来の実用化が期待される全国体型リチウム二次電池の電解質として薄膜を利用すれば、電池の小型・軽量化にながる。本年度は均一なスパッタ膜の作成と電導度の絶対値の再現性について詳細に検討した。スパッタ薄の膜厚は中心部と外側ではやや異なり、中心部で1μm、外側ではほぼ0.5μmであった。この膜を生成するためには約4.5時間を用した。LMS粉末ではLi_<3.2>Mg_<0.4>SiO_4が最も高い電導度を示したので、出発試料の組成は蒸発損失の高いリチウム成分と過剰に含むL_<13.8>Mg_<0.1>SiO_4を用いた。電導度は200℃でほぼ2×10^<-5>S・cm^<-1>、500°Cでほぼ10^<-1>S・cm^<-1>を示した。これらの値はほぼLMS粉末の値と一致することがわかった。生成した膜は空気中で安定であり、また少なくとも550℃までの加熱しても安定であることがわかった。以上より本研究で得られたLMS薄膜は高温作動型全固体リチウム二次電池の電解質となり得ることが明らかになった。今後は正極物質とのマッチング、負極のリチウムの合金化による融点上昇などの問題が実用化のために残っている。
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[Publications] WAKIHARA,MASATAKA;UCHIDA,TAKASHI;GOHARA,TSUYOSHI: Solid State Ionics. 31. 17-20 (1988)