1987 Fiscal Year Annual Research Report
重質炭化水素類を対象にした脱アルキル反応の統計動力学的解析の試み
Project/Area Number |
62550611
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野村 正勝 大阪大学, 工学部, 教授 (10029184)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 雅弘 大阪大学, 工学部, 助手 (20183626)
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Keywords | 石炭 / 触媒 / 脱アルキル反応 |
Research Abstract |
石炭系重質炭化水素から付加価値の高い芳香炭化水素族ケミカルズを効率よく得る技術の開発と, 脱アルキル反応機構の統計動力学的解析を行う目的で, 多種の石炭セデル化合物群から, メチルナフタレン類, および2-メチルキノリンを出発原料として選び, オートクレープ中, 初期水素圧20気圧, 反応温度550°Cで2時間反応お行った. 本研究では, 同じクラス(縮合度)の芳香環骨格を有する化合物群はアルキル炭素数に拘らず, 同じ速度定数で脱アルキル反応が進行するという考え方に基づき, 反応機構の解析を行っている. 結果を要約すると以下の様になる. 1.反応時間を変化させ, 2, 6-ジメチルナフタレンの脱アルキル反応を行ったところ, 分解反応の1次の速度定数はクロミア触媒(Cr_2O_3/MgO/Al_2O_3)を用いた場合(0.29h^<-1>に比べ, La-Y触媒(Y型ゼオライトのNaイオンをLaイオンで交換したもの)では約4倍(1.16h^<-1>)を示し, La-Y触媒が脱アルキル反応に高い活性を有することがわかった. またこれらに比べ, 水素化活性の高いCo-Mo-Ni触媒をもちいると, 反応の中間段階で水素化物が多く生成するため, 分解生成物が多く生成するなど, 分解活性の高い触媒と水素化活性の高い触媒とでは反応機構に大きな違いが現れた. 2.クロミア触媒を用いたとき, 2-メチルナフタレンの転化率89%, ナフタリン収率80%に対し, 2-メチルキノリンも同程度の転化率85%を示したが, キノリン収率は33%と低く, 窒素を芳香環に含む化合物の反応機構はナフタレン環の様な炭化水素のものとは非常に異なることがわかった. 今後種々のアルキル炭素数を持つ, 芳香環縮合度の異なる3グループの化合物群の反応を行い, それぞれの反応経路を仮定し, 脱アルキル反応の統計動力学的解析を進めて行きたい.
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[Publications] 野村正勝, 三浦雅博, 井田徹, 菊川隆司: 石油学会誌.
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[Publications] 野村正勝, 三浦雅博, 井田徹, 松林賢司: 石油学会誌.