1988 Fiscal Year Annual Research Report
リビング配位重合の高活性触媒の開発と機能性ポリキレフィンの合成
Project/Area Number |
62550666
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
土肥 義治 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教授 (40016639)
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Keywords | リビング配位重合 / リビングポリプロピレン / 高活性バナジウム重合触媒 / 機能性ポリオレフィン / ブロックポリマー |
Research Abstract |
著者らは、V(acac)_3とAl(C_2H_5)_2Clからなる可溶性触媒がトルエン中、-65℃以下の低温度域で単一分散リビングポリプロピレンを生成することを見い出した。さらに、V(mmh)'(mmh=2-メチル-1.3-ブタンジオナート)を用いると、プロピレンのリビング配位重合に高活性を示し、すべてのバナジウムイオンが活性種として作用することを明らかにした。すなわち、開始剤効率は100%となることを見い出した。この高活性触媒を用いてリビングポリプロピレンとを合成し、リビングPPと各種試薬との反応を行ない、末端に官能基を導入した単分散PPの合成法について検討した。リビングPPSI_2(ヨウ素分子)との反応は定量的に進行し、ヨウ素化PPを得た。ヨウ素化PPをTHFに溶解したのち過剰量のエチレンジアミンを加え20℃で120時間反応し、ついてアルカリ水溶液で処理することによって末端に一級アミン基をもつ単分散PPを合成した。リビングPPと一酸化炭素との反応も-78℃で定量的に進行し、塩酸処理によって末端にホルミル基をもつ単分散PPを得た。さらに、これをLialH_4と反応し、反応生成物を酸処理することによって水酸基を末端にもつ単分散PPを合成した。これらの末端官能基をもつPPは、ブロックおよびグラフト共重合のプレポリマーとして有用である。各種のブロックポリマーを、逐次重合法、汚性種転換重合法、活性末端間のカップリング法によって合成した。とくに、PP-PMMAやPP-PTHFなどの極性モノマーの高分子鎖を結合したブロックポリマーは、汚性種転換重合法を用いて合成できることを示した。これらのブロックポリマーは、ポリマーブレンドの優れた相容材として機能することを実証した。このように、リビング配位重合触媒の発見によって、ポリオレフィンを基盤とする機能材料の合成が可能となった。
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[Publications] Y.Doi: Makromol,Chem.190. (1989)
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[Publications] Y.Doi: "Transition Metals and Organometallics as Catalysts for Olefin Polymerization" Springer-Verlag, 379-388 (1988)
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[Publications] Y.Doi: "Tranciton Metal Catalyxed Polymerization" Cambridge University Press, 182-194 (1988)