1987 Fiscal Year Annual Research Report
生体起源物質分離精製のための機能性溶媒の設計に関する研究
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62550704
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
荒井 康彦 九州大学, 工学部, 教授 (50005435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三島 健司 九州大学, 工学部, 助手 (40190623)
川上 幸衛 九州大学, 工学部, 助教授 (70091345)
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Keywords | 水性二相分配法 / バイオセパレーション / 酵素分離 / 水溶性ポリマー / 高分子溶液 / デキストラン / ポリエチレングリコール / 液液平衡 |
Research Abstract |
バイオテクノロジーの進展に伴い, 酵素類, 細胞顆粒, ウィルスあるいは核酸などの純化(分離・精製)技術が強く要望されている. これらの生体起源物質の分離法に要求される条件は, 緩和でかつ効率的な分画法であり, 分子構造や組成のわずかな差を認識できる高度な分離法を開発しなければならない. ところで適当な2種類の水溶性ポリマーを混合して得られる相分離した液々2相に着目物質を分配させ, その分配比の著しい差を利用して分離・純化する方法は, 通常の有機溶媒を用いた抽出法に比較して変性効果, 細胞破壊がなく有用な分離法として着目されつつある. その場合, いかなる溶媒系を選択するかがきわめて重要な課題となる. そのためには, まず水性2相分配系相平衡の定量的測定法の確立および溶液モデルになる相関法の開発が不可欠となる. 本年度の成果は次のとおりである. (1)滴定法に基づき水性2相分配系の相分離曲線の測定装置を試作した. 試料として, デキストラン(分子量17,200)およびポリエチレングリコール(分子量50,000)を用い, 25°Cおよび30°Cで相分離曲線を測定した. 得られた結果は, 従来のデータと比較して満足すべきものであった. さらに設備備品である高速液体クロマトシステムを活用し, タイラインデータおよび酵素の分配平衡の測定を試みている. (2)相分離曲線を計算により得ることができれば, 工学的にはきわめて有用となる. とくに本研究で対象にしている物質は高分子量であるため, 分子量の影響等を定量的に予測する必要がある. そこで, 高分子溶液モデルを用い, デキストラン+ポリエチレングリコール+水系の水性2相分配平衡の相関を試みたところ, 得られた結果はほぼ満足すべきものであった. さらに酵素などが分配系に加えられた場合の分配平衡の相関法を確立する計画である.
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Research Products
(2 results)