1988 Fiscal Year Annual Research Report
生体起源物質分離精製のための機能性溶媒の設計に関する研究
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62550704
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
荒井 康彦 九州大学, 工学部, 教授 (50005435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三島 健司 九州大学, 工学部, 助手 (40190623)
岩井 芳夫 九州大学, 工学部, 助教授 (80176528)
川上 幸衛 九州大学, 工学部, 助教授 (70091345)
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Keywords | 水性2相分配法 / バイオセパレーション / 酵素反応 / 水溶性ポリマー / 高分子溶液 / デキストラン / ポリエチレングリコール / 液々平衡 |
Research Abstract |
前年度は、ポリエリレングリコール(PEG)-デキストラン-水素の2相分配平衡の測定技術を確立し、得られた水性2相分配平衡が溶液モデルにより相関可能であることを確認した。そこで本年度は、酵素分画を中心に研究を進め、次の成果を得た。 酵素としてα-アミラーゼをとりあげた。まずα-アミラーゼ粉末を純水に溶解させ、ガラスフィルターによりα-アミラーゼ水溶液と増量剤を分離した。次に、デキストランT40とPEG4000、およびα-アミラーゼ水溶液を一定の割合で全体が約8gになるように平衡セルに仕込んだ。なお、平衡セル中に含まれているα-アミラーゼは約10mgとした。次に酵素を含んだ平衡セルを攪拌・静置したあと、シリンジにより上下両相をサンプリングした。サンプリングした試料は、純水で希釈したのち島津製作所製、島津デジタルダブルビーム分光光度計UV-150で、215nmと225nmの吸光度を測定した。ただし、この吸光度は、ポリマーの吸収によるものも含んでいるので、あらかじめデキストランとPEGの濃度と吸光度の関係を求めておき、両相のポリマー濃度を高速液体クロマトグラフィーで測定したのち、そのポリマー濃度に相当する吸光度を測定値から差し引くことによりα-アミラーゼのみの吸光度を得た。さらに、215nmと225nmの吸光度の差(△ABS)をとり、α-アミラーゼの分配係数Kp{=△ABS(上相)/△ABS(下相)}を決定した。本研究で得られたα-アミラーゼの分配係数(Kp)の値が1より小さいことから、酵素であるα-アミラーゼは下相(デキストラン高濃度相)に多く分配されることがわかった。また、水性2相分配平衡におけるタイラインが長くなるにつれ、Kpの値が小さくなった。以上より、酵素をいずれかの相に保持することの可能性が示された。またフローリー・ハギンス式を用いて、分配係数Kpの相関も可能であった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 林田和彦: 化学工学協会広島大会講演要旨集. 95-97 (1988)
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[Publications] 古屋武: 化学工学協会広島大会講演要旨集. 110-111 (1988)
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[Publications] 國本浩二: 第25回化学関連支部合同九州大会講演・研究発表会要旨集. 115 (1988)
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[Publications] 古屋武: 化学工学協会第54年会講演要旨集. (1989)