1988 Fiscal Year Annual Research Report
アグロバクテリウムの植物に対する腫瘍形成遺伝子の活性化因子とその活性化機構の解明
Project/Area Number |
62560160
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
寺澤 實 北海道大学, 農学部, 助教授 (50003124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 清 北海道大学, 農学部, 助手 (40165957)
香山 彊 北海道大学, 農学部, 教授 (60101135)
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Keywords | アグロバクテリウム / Ti-プラスミド / vir領域活性化物質 / アセトシリンゴン / タバコ / T-DNA / 傷害組織 |
Research Abstract |
アグロバクテリウム(Agrobacterium tumofaciens)のTi-プラスミド中のvir領域活性化に関わる化合物の検索を行った。 タバコで報告のあるvir領域活性化物質の一つアセトシリンゴンは、確かに活性化能を有することを検証した。低分子フェノール成分のうちvir領域を活性化しうる能力のある化合物が、いくつか判明した。それらは、アセトフェノン類(A)、芳香族酸(B)、桂皮酸類(C)、カルコン類(D)などであり、構造上にある種の共通点がある。 タバコ中で、アセトシリンゴンガ、いかに生成するのかについて検討を行った。タバコ中のアセトシリンゴンは、遊離で存在するのではなく、配糖体として存在しているのではなく、デプシドとしても存在していない。他のフェノール成分から酸化等によって生成するのでもない可能性が高い。傷害組織に隣接する健全組織で新規合成されるものと推定された。タバコ以外のナス科の植物とElephantropus scabraについてアセトシリンゴンの存在を検討したが、いずれにも検出されなかった。従って、アセトフェノン類は、タバコでのみ生成するシグナル物質で、他の植物では、それぞれ特有成分が生成するものと思われる。 シラカンバ、ポプラについて、培養組織の誘導の試みが行われた。シラカンバ、ポプラ、ともに、0.1〜1.0のBAとNAAとをバランスよく含むMS培地で良好に誘導された。カルスの生産するvir領域活性化成分については検討中である。 vir領域活性化能を有する化学成分(A)〜(D)には、構造性の共通点があり、いずれも酸化によって化合物群(X)に変化しうる。もし、この化合物群(X)が真のvir領域活性成分であるとすると、なぜアグロバクテリウムが広範のフェノール成分を認知しうるのかについて、一般化した理解が可能となるであろう。
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[Publications] Minoru,Terazawa;Tsutomu,Kayama: Proceedings of the 5th intemational Symposium on Wood and Pulping Chemistry. 5. (1989)
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[Publications] Kiyoshi,Miura;Tsutomu,KATAMA: Proceedings of the 5th intemational Symposium on Wood and Pulping Chemistry. 5. (1989)
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[Publications] Minoru,Terazawa;Motoi,Chiba;Tsutomu KAYAMA: Mokuzai Gakkaishi. 35. (1989)
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[Publications] Minoru,Terazawa;Hiroto,Mitsugi;Tsutomu,KAYAMA: Mokuzai Gakkaishi. 35. (1989)
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[Publications] Minoru,TERAZAWA;Masanori,KOBAYASHI;Tsutomu,KAYAMA: Mokuzai Gakkaishi. 35. (1989)
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[Publications] Minoru,TERAZAWA;Eri,TASUDA,Tsutomu,KAYAMA: Mokuzai Gakkaishi. 35. (1989)