1988 Fiscal Year Annual Research Report
スギ心材色発現に関与する化学成分とその化学変換による材色調色
Project/Area Number |
62560170
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
甲斐 勇二 静岡大学, 農学部, 助教授 (60022068)
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Keywords | スギ / 木材の色調 / ポリフェノール / 化学構造 / 調色技術 |
Research Abstract |
昨年度スギ黒心と赤心との間には、ポリフェノール成分に相違が見られ、とくにトリオキシフェニル基をもつフェノール成分が黒心に多いことを見出した。今回、新たにポリフェノール画分をエチル化したのち、過マンガン酸カリ酸化し、その分解生成物のメチルエステルをGC-MS分析した結果、3,4ジエトキシ-5-メトキシ安息香酸メチルの存在を確認することができた。したがって、黒心には3,4-ジヒドロキシ-5-メトキシフェニル基をもつポリフェノールが多く存在することがわかった。 これまでスギ心材から、スギレジノール、ヒドロキシスギレジノール、アガサレジノール、セキリンCなどのノクリグナン類が単離されているが、3,4-ジヒドロキシ-5.-トメキシフェニル基をもつフェノール成分は、単離されていない。しがって、黒心のポリフェノール画分を注意深くアセチル化し、トリオキシフェニル基をもつフェノール成分の単離を試みた。その結果、アガサレジノールとセキリンCのアセチル誘導体を単離した。また、TLC上でトリオキシフェニル基をもつポリフェノールと推定される成分を検出できたが、量的に少ないため、まだ単離・同定するまでに至っていない。 スギ黒色心材に、オゾン処理、過酸化水素処理、亜塩素酸ナトリウム処理、亜ニチオン酸ナトリウム処理、ロンガリット処理、メチル化処理、アセチル化処理などを施し、材色の改良を試みた。その結果、オゾン処理では使用する溶媒によって脱色効果が異なり、メタノール:二塩化メチレン(1:1)を用いた場合が、最も脱色効果があった。また、ジアゾメタンによるメチル化も高い脱色効果を示した。しかしながら、黒色を赤色へ一挙に変換できる処理法は、見出されなかった。したがって、黒色心材を脱色したあと、赤色への着色化を行なうプロセスを考える必要がある。
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Research Products
(2 results)