1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62560205
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Research Institution | Ocean Research Institute, University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 潮 東京大学, 海洋研究所, 教授 (30101083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木暮 一啓 東京大学, 海洋研究所, 助手 (10161895)
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Keywords | 海洋細菌 / 植物ホルモン / オーキシン / インドール酢酸 / サイトカイニン / 海底堆積 |
Research Abstract |
昨年度の引きつづきサイトカイニン産生細菌についてプラスミドの存在と、植物ホルモン産生遺伝子がプラスミド上に存在するかどうかを調べ、ついで海底堆積物中のオーキシンの定量を行い、最後に植物ホルモンが細菌および藻類の増殖に及ぼす影響を検討した。 (1)Vibrio科に属するサイトカイニン生産菌から常法に従ってプラスミドの分離検出を試みた結果、本菌株からはプラスミドは検出されず、本菌株のサイトカイニン生産遺伝情報は染色体DNA上の存在すると考えられた。このことは、細菌によるサイトカイニン生産が、特定のプラスミド保有菌に限局されないものであることを確認している。 (2)海洋中に植物ホルモン産生菌が広く分布していることから、海水・海底堆積中に植物ホルモンが蓄積されていることが推定される。これを確かめるために、東京湾・油壺湾の海底から堆積物を採取し、オーキシン(インドール酢酸)を定量した。定量は、堆積の遠心分離上清を酸性ジエチルエーテルで抽出し、高速液体クロマトグラフィーで分画し、対芯分画を酵素免疫測定(ELISA)に附することによって行った。その結果海底堆積物中からオーキシンを初めて検出することに成功した。その濃度は油壺湾で10^<-9>モル/dm^3ていど、東京湾で10^<-8>〜10^<-6>モルdm^3ていどだった。 (3)イソペンテニルアデニン、ゼアチン、インドール酢酸、シベレリンなどの植物ホルモンの微生物、藻類の増殖分化にたいする影響を調べた。その結果たとえばインドール酢酸は10^<-6>Mの濃度で細菌の増殖を阻害した。一方、単細胞藻類ではさらに低い濃度でCO_2の取り込み阻害がみられ、また、多細胞緑藻ではサイトカイニン・オーキシンの濃度により、葉体成長の促進と阻害が観察され、高等植物のカルスに対するものと類似の効果が認められた。
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