Research Abstract |
本年度の研究計画は1.国際的割高, 過保護と言われる日本農業の構造フレームの検討, 2.非農業, 農業いずれからも批判のあるわが国農協の抱えている問題点の検討, 3.農協政策と農協経営との関係の検討であった. 1については, 農業生産政策, 生産物価格, 農業構造政策面において, 主要な政策変数として, 土地改良支出, 生産者米価, 農産物価格政策支出, 制度金融, 技術普及支出を選択, この効果を減殺するものとして, 農業への投入財価格の上昇, 農産物輸入を取り上げ, これらが, 農協政策と関連する農業構造を農家の農業投資, 農業生産, 農家消費, 農家金融に求めた. なお, 国の農政と農協政策が非農業部門に波及する効果を求めるべく, 非農業の投資, 生産構造, 最終消費構造, さらに全経済における国民所得, 消費者物価の部門も含めてモデル化を試みた. 2については, (1) 農協の規模拡大, (2) 系統組織の機能分担, (3) 系統組織の民主的・開放的運営, (4) 農協の対非農業・消費者との連帯, (5) 農協の地域的役割の5項目に要約した. (1)は農協自身のスケールメリットを発揮し, コストダウンに貢献すると同時に, バーゲニングパワーを国際化に向に強化する. (2)は農業構造の変化, 農協合併の進展, 流通革命に伴う組織の整備, 業種・市場条件に対応した総合的運営, (3)は組合員の意思にもとづき, 充分それを反映した運営, (4)は単に農業・農家への直接対応のみでなく, 投入財部門, 加工部門, 消費者への取り組みによる農業・農家経済の維持・発展, そして(5)は, 地域経済のコアとしてのコミュニティリーダーの役割が検討された. 3.については, 農協政策を政策変数として如何に計量可能な観点から絞り込むかを農協の販売, 購買, 信用部門との関連で検討した.
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