1989 Fiscal Year Annual Research Report
不飽和土の圧縮と圧縮による土壌構造の変化に関する研究
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62560224
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
矢沢 正士 北海道大学, 農学部, 助教授 (30001473)
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Keywords | 圧縮 / 不飽和土 / 土壌構造 / コ-ン指数 |
Research Abstract |
前年度では、不飽和土の圧縮による構造変化は、飽和土の圧縮荷重と間隙比の関係を基準とみなすと、同一荷重における不飽和土と飽和土の間隙比の差異から評価できることを示した。そこで本年度は、圧縮による土壌構造の変化と土壌水分量の関係を詳細に検討した。その結果、土壌水分量が多いほど圧縮による大間隙の減少が顕著であること、一般的な車輪トラクタ-の平均接地圧に近い2Kgf/cm^2の圧縮荷重に注目すると、大間隙の減少はそれぞれの土壌の塑性限界〜収縮限界に相当する含水比で最も少なく、この含水比領域で農作業を行うことが望ましいことが明らかになった。また長さ30cmの均一な土柱の圧縮試験を行い、圧縮の影響がどの程度の深さまで及ぶかを検討したが、2Kgf/cm^2以下の圧縮荷重をでも20〜25cmの深さにまで乾燥密度の増加が生じていることが判明し、繰り返し載荷などの条件下では下層土の堅密化はさらに進行するものと予想された。 次に、実際の圃場における土層の堅密化の実態を把握するため、北海道大学農学部付属農場の飼料畑でコ-ン貫入試験を行い、春耕から収穫までの期間中のコ-ン指数の変化を追跡した。春耕前の測定によると、圃場全域において深さ30〜40cmの下層土のコ-ン指数が非常に大きく(8〜10Kgf/cm^2)、表土よりも下層土で堅密化が進行していることが判明した。春耕直後の測定では、表層10cmまでのコ-ン指数は大きく減少し、膨軟化を示したが、30〜40cmのコ-ン指数にはほとんど変化が認められず、通常の耕耘方法では下層の堅密な土層の膨軟化は期待できない。また中耕後のトラクタ-車輪の通過部(畝間)のコ-ン指数は、表層10cmでも9Kgf/cm^2の極めて大きい値を示し、畝部との差異は明らかであった。表層土の堅密化は、収穫後の秋耕や翌年の春耕で再び膨軟化するが、下層土の場合は踏圧の影響が徐々に蓄積されると推定された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 矢沢正士: "圧縮による不撹乱土試料の構造と物理性の変化-粘土質土壌の理工学性と土壌構造に関する研究(V)-" 農業土木学会論文集. 139号. 43-50 (1989)
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[Publications] 矢沢正士: "締固め土の構造と物理性に及ぼす締固め含水比の影響-粘土質土壌の理工学性と土壌構造に関する研究(VI)-" 農業土木学会論文集.
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[Publications] Masao YAZAWA: "Relations between soil compaction and soil structural changes evaluated by shrinkage behaviors" Abstract papers of intermational conference on soil compactions as a factor determining plant productivity. 170-171 (1989)