Research Abstract |
母岩を異にする3種類の粘性土を供試土とし, 水浸・凍結・乾燥(各状態24時間)を1サイクルとして0, 5, 10, 20, 40, 70サイクルの処理を施し, それに伴う試料の理工学性の変化に関して以下の点を明らかにした. (1).真比重, 粒径分布には有意な変化が認められなかったが, 保水性, 液性限界, 塑性限界はサイクル数の増加に伴って低下する. (2).サイクル数の増加に伴って, 最適含水比は低下し, 最大乾燥密度は増加する. また, 最大一軸圧縮強度と最小透水係数はいずれも増大する. (3).緩和時間はサイクル数の増加に伴って増加傾向を示すが, (2)の変化割合に比べると軽微な変化である. (4).これらの変化は, 供試土によって変化割合には差があるが, いずれも5〜10サイクルにかけて急激に発生し, その後の変化割合は小さい. (5).変化の傾向を総括すると, 砂質土的に変化するとまとめられる. 2.予備実験として, 以前のデータ(SEM写真)から, 粘性土のaggregateの形状をフラクタル次元で定量的に表現できるか否か検討し, それが可能であることを明らかにし得た. また, その値は, 供試土の生成起源, 乾燥や突固め等の外力の有無等によって変化することも明らかにし得た. 3.造成後の経過年数と被覆状態を異にする切土法面において, 表面から垂直方向5cmごとの硬度分布と, 各層から採取した土の理工学性を調べた. その結果, 裸地状態の法面では造成後数年を経過すると, 表面の硬度, 液性限界, 塑性限界, 保水性はいずれも低下し, 風化の影響を強く受けていることが明らかとなった. 4.処理土の化学性の変化, フラクタル次元による土壌構造の定量表示, ならびに地すべり地帯の粘性土の理工学と風化度との関連性は, 63年度に引き続き追求する予定である.
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