1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62560258
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 巌 東北大学, 農学部, 教授 (50005659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大竹 秀男 東北大学, 農学部, 助手 (20191942)
菅原 和夫 東北大学, 農学部, 助教授 (20005672)
小島 邦彦 東北大学, 農学部, 助教授 (70005669)
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Keywords | 草地生態系 / 物質循環 / ミネラルバランス / カリウムの循環 / カルシウムの循環 / 放牧 / 草地酪農 |
Research Abstract |
1.山地の草地生態系における栄養物質の分布について実態を調査するととに, 主として草地利用におけるKとCaの循環について研究し, つぎの成果を得た. Kの循環について, めん羊を供試して試験した結果では放牧利用の場合は家畜による生産物として草地以外に持ち出されるK量は, 土壌中のK含量に関係なくほぼ一定であり, 牧草に吸収されたKの約98%が同一草地に還元される. したがって放牧利用では施肥されたKのほとんどは土壌に付加される. これに対して刈取り利用では, 施肥水準のいずれの処理区でも施肥量を上回るKが刈取り草として草地に持ち出されていることが明らかとなった. これらのことから放牧と刈取りではKの循環に大きな差があり, 土壌中置換性K含量は常に放牧区が高い値を示して水位していた. 放牧区でのKの還元には家畜の糞尿と残草・リターからの還元との2つの経路がある. 今回の実験ではK施菌量に応じて糞尿による還元率は現象するのに対して, 残草・リターからの還元率は増加していた. 家畜のミネラルバランスを保つためにこれらの還元経路についてさらに検討が必要である. 区2.草地酪農の形態をとっている本学附属農協でCaの動態を調査した. 牧草生産による土壌からのCa収容量は10a当り約2kgであり, このうち40.6%が放牧牛に採食され, 38.8%が刈取りによって系外に持ち出されている. 乳牛は放牧地での採食以外に補助飼料として給与される乾草や濃厚飼料から約50%のCaを摂取していた. 摂取したCaのうち約25%が牛乳に, 80%が糞に, 0.2%が尿に含まれて体外に出ている. 生産子牛には3.2%含まれている. 糞尿として放牧地に還元されるCaの量は, 土壌から収奪されたCa量の34.8%に当り, 草地内の残草中のCa量と合わせても全収奪量の55.4%しか還元されていない. 土-草-家畜の系における永続的安定生産のためには収奪量を補償するCaの施用が必要である.
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Research Products
(1 results)