1987 Fiscal Year Annual Research Report
消化管と膵組織の細胞の分化における細胞間結合装置の関与
Project/Area Number |
62570008
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山本 正夫 広島大学, 医学部, 講師 (00109399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹岡 保子 広島大学, 医学部, 助手 (50163390)
片岡 勝子 広島大学, 医学部, 教授 (30034002)
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Keywords | 小腸 / 膵臓 / フリーズフラクチャーレプリカ法 / 超薄切片法 / 細胞の分化 / 超微細構造 / タイトジャンクション / ギャップジャンクション |
Research Abstract |
ラットの胎生12日〜成獣の小腸, 膵臓と膵器官培養標本を超薄切片法とフリーズフラクチャーレプリカ法を用い電顕観察した. 胎生12〜13日の腸管の未文化な上皮細胞は多裂上皮様の配列をなし, 腸管腔は開いている. 胎生14〜15日にかけ腸管腔は著しく狭窄するが, 胎生16〜17日に急速に再開通して拡大し, 繊毛原器が出現する. この再開通に先行して未文化な上皮細胞間に閉鎖斑が出現し, その閉鎖斑内に微繊毛をもつ腔がしばしば観察される. このことから胎生後期腸管腔からやや離れた所に出来た閉鎖斑内に新たな腸管腔が形成され, それが本来の腸管腔と連続することにより, 微繊毛原器が形成されるという興味ある結果がえられた. 膵臓の腺房細胞の特徴であるチモーゲン果粒, 小腸の吸収上皮の特徴である微繊毛は胎生16日から出現し始める. これに先行してギャップ結合が出現し, 細胞分化の進行に一致して出現頻度と大きさが増加する. 生後ギャップ結合は腸陰窩の細胞に限局するようになる. 腸陰窩は腸上皮細胞の増殖と分化の場であり, 上記の結果や他の報告を考え合わせるとギャップ結合がこれら上皮細胞の分化に非常に重要な役割を果している可能性がある. 膵内分泌細胞は胎生12日ですでに未分化な上皮細胞間に存在したり, 大きな膵島を形成している. しかし主としてA細胞様の果粒をもつ未分化な内分泌細胞によって構成されており, B細胞が出現し始めるのは胎生15日頃からである. 未分化な内分泌細胞は上皮細胞間から血管側へ脱出する際閉鎖帯を失ないその残片である閉鎖斑を共ない観察されることがある. 膵島内で閉鎖斑は時に大きな閉鎖斑を形成し, ギャップ結合の形成の場を与えられた後消失し, 成獣では観察されない. 膵器官培養標本による観察から膵内外分泌細胞は生体に極めて近い細胞分化過程を辿ることが明らかとなった.
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