1988 Fiscal Year Annual Research Report
炎症の発現と制御におけるチオールプロテアーゼとキニノーゲンの役割
Project/Area Number |
62570138
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Research Institution | Nagoya City University Medical School |
Principal Investigator |
佐々木 實 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (10080003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
国松 己歳 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (70145746)
大久保 岩男 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (80152073)
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Keywords | 炎症 / カルパイン / 走化性因子 / アセチル化ペプチド |
Research Abstract |
ヒト赤血球から精製されたカルパインIを、5mMカルシウムイオン存在下で温置し、自己消化を行った。ケモタキシスミクロチャンバーで測定した走化活性は経時的に上昇し、5分間で最高値に達した。 本年度はここから走化性因子を精整単離し、構造決定を行い、さらにこの物質を化学合成して、構造が正しいことを認めた。 1.走化性因子の精製.カルパインIの自己消化物をFPLCシステムによるSuperoseカラム、およびZORBAX-ODSカラムにかけて走化活性を有する単一成分を精製した。2.構造決定.精製された成分は6N塩酸で24時間水解し、アミノ酸分析機でアミノ酸組成を測定した。この物質はセリン、スレオニン、プロリン、バリン、チロシン各1モル、グルタミン酸、イソロイシン各2モルから成りたっていた。次にこれをペプチドシーケンサーにかけたが、N末端がブロックされていて分析が困難であった。そこでアシルアミノ酸遊離酵素で処理した後に、再び同シーケンサーにかけて次の様な配例を得た。Glu-Glu-Ile-Ile-Thr-Pro-Val-Tyr.これをアミノ酸組成の測定結果と合わせるともとのペプチドは、Ser-Glu-Glu-Ile-Ile-Thr-Pro-Val-Tyrであったことを意味する。さらにN末端のアシル基はこのペプチドのダンシルヒドラジン誘導体の薄層クロマトグラフィーから、アセチル基であることが同定された。かくて走化性因子の構造は最終的にAcetyl Ser-Glu-Glu-Ile-Ile-Thr-Pro-Val-Tyrであると決定された。3.走化性因子の化学合成.構造決定された上記アセチルペプチドの化学合成を行い走化活性を測定した。このペプチドはミクロチャンバー法によるin vitroの系においても、またモルモット皮下注射によるin vivoの系においても走化活性のあることが確認された。尚このペプチドのアミノ酸配列はカルパインIのlarge subunitのN末端構造に一致することも確められた。
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[Publications] 佐々木實、大久保岩男、国松己歳: 治療学. 21. 606-613 (1988)
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[Publications] I.Ohkubo;C.Namikawa;S.Higashiyama;M.Sasaki;O.Minowa;Y.Mizuno;H.Shiokawa: Int.J.Biochem.20. 243-258 (1988)
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[Publications] M.Sasaki;M.Kunimatsu;S.Higashiyama;H.Ishiguro;K.Sato;I.Ohkubo: Intracellular proteolysis-Mechanisms and regulations;Japan Scientific Societies,Tokyo-Springer・Verlag,Berlin. (1989)