1989 Fiscal Year Annual Research Report
学童期の血圧に関連する環境要因および遺伝生化学的指標に関する研究
Project/Area Number |
62570242
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
大村 外志隆 秋田大学, 医学部, 助教授 (00102038)
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Keywords | 中学生 / 血圧 / 血清総コレステロ-ル / tracking現象 |
Research Abstract |
本研究は学童期の血圧レベルを明らかにし、それが成人に達するまでにどのように変化するのか、および、学童と両親の血圧の相関、尿中代謝物についての検討、あるいは食事調査成績との比較などにより、高血圧の発症に関連する環境要因および宿主要因を明らかにすることを目的とした。 本研究初年度の昭和62年度には、主に中学生と両親の血圧および循環器検診成績4項目の比較検討結果について報告した。さらに、昭和63年度には中学生および両親について、血圧と尿中カリクレイン、Na、K排泄量との相関について報告した。 本年度は、中学生時と5年後の20歳時における循環器検診成績の相関について検討し、それらの成績の推移と関連する要因についての検討を目的とした。対象は秋田県内井川町中学3年生で、昭和55年より59年までに循環器検診を受診した男子230名、女子215名,合計445名である。また、20歳時における検診は各5年後に相当する昭和60年より平成元年までに実施したが、その受診者数は127名、女172名、合計299名で対象者の67%であった。 中学生時と20歳時の検診成績の比較より、身長、体重、肥満度については高い相関を認めた。血圧については、5年間で最大血圧・最小血圧とも男女で10mmHg以上の増加がみられ、またいずれも有意の相関であった。さらに、血清総コレステロ-ルについては、5年間の比較で男女とも平均値では有意の変化はみられなかったが、相関係数は血圧よりも高く有意であった。これより、学童期と20歳時の血圧および血清コレステロ-ルは有意の相関、いわゆるtracking現象が認められ、よって中学生時点で比較的高値を示した者については、長期的観点での適切な指導が重要であると結論された。
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