1988 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児嘔吐下痢症における母乳抗体の予防効果に関する追跡研究
Project/Area Number |
62570251
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Research Institution | YOKOHAMA CITY UNIVERSITY SCHOOL OF MEDICINE |
Principal Investigator |
曽田 研二 横浜市立大学, 医学部, 教授 (80154706)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 誠一 横浜市立大学, 医学部, 助手 (90106302)
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Keywords | 嘔吐下痢症 / ロタウイルス / 母乳抗体 / 酵素免疫定量(ELISA)法 |
Research Abstract |
ロタウイルス(HRV)感染による乳幼児嘔吐下痢症には、母乳中の分泌型抗体の予防効果が注目されているが、血清に比して母乳抗体に関する疫学的知見は少なく、その効果は明確でない。本研究では、母体血清、臍帯血清、初乳、新生児便等から出産時の母児の免疫学的情報を得、下痢症罹患の有無を質問票調査で追跡した。以下に成績を要約する。 1.産婦381人から採取した母体血清431例(妊娠初期48例、同末期152例、分娩後231例)、臍帯血清105例、初乳104例をELISA法にて抗体測定した。2.HRV抗体価分布は、母体血清(IgG抗体)が60ー80未満、臍帯血清(IgG抗体)が40ー60未満、初乳(IgA抗体)が60ー80未満、臍帯血清(IgG抗体)が40ー60未満、初乳(IgA抗体)が40ー60未満にピークがあった。母体血清は妊娠期及び分娩後のいずれも類似の分布であった。3.初産婦と経産婦を比較したところ、【○!1】妊娠末期及び分娩後母体血清の抗体価分布は、初産婦群の20ー40未満に対して、経産婦群は60ー80未満と高かった。初乳の抗体価分布にも同様の差異がみられた。【○!2】妊娠期及び分娩後母体血清の平均抗体価は、初産婦群に比べて経産婦群が有意に高かった。また、初乳も経産婦群の平均抗体価は有意に高かった。【○!3】母体血清の年齢別平均抗体価は、全年齢階級で初産婦群に比べて経産婦群は高かった。4.各検体間の抗体価の相関性は、母体血清と臍帯血清の間では、初産婦群がr=0.485(p<0.01)、経産婦群がr=0.516(p<0.01)と有意であった。しかし、各々の血清と初乳との間では相関は見られなかった。5.冬期の嘔吐下痢症と診断された児は、1歳以上の対象児65人の内4人で、この内、1人は人工乳栄養、2人は混合栄養で母乳哺育期間は2カ月未満であった。対象児の兄弟も含めた解析から、冬期の下痢罹患率は第1子が12.4%で第2子(4.3%)に比して高かった。 本下痢症は主に1〜3歳児で流行しており、さらに詳細な解析を加えるために、対象児が2〜3歳になるまで追跡を継続する。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 市川誠一: 小児内科. 20. 152 (1988)
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[Publications] 市川誠一: 日本公衆衛生学雑誌. (1989)
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[Publications] 曽田研二: 日本公衆衛生学雑誌. (1989)