1988 Fiscal Year Annual Research Report
免疫複合体の糸球体沈着に関与する局所性因子についての検討
Project/Area Number |
62570283
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Research Institution | First Department of Medicine, Teikyo University School of Medicine |
Principal Investigator |
長瀬 光昌 帝京大学, 医学部, 教授 (00010124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 修三 浜松医科大学, 第一内科, 助手 (63570288)
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Keywords | 糸球体蛋白透過性 / アポフェリチン / ダウノマイシン / 免疫複合体 |
Research Abstract |
糸球体基底膜自体の蛋白透過性変化が免疫複合体の糸球体沈着にどの様に影響を及ぼすかを前年度に引き続き検討した。ダウノマイシンはアミノヌクレオシド同様糸球体基底膜(GBM)のsize barrierおよびcharge・barrierを破壊し、糸球体の蛋白透過性を亢進させる。そこで、あらかじめダウノマイシンを投与し、GBMの透過性を変えておいて、免疫複合体腎炎を惹起させたら、複合体の糸球体沈着分布はどのようになるかをさらに検討した。すなわち、アポフェリチンによる腎炎はダウノマイシンを投与しないと、メサンギウムに免疫複合体沈着をみとめるメサンギウム増殖性腎炎をみとめるが、ダウノマイシンを予め投与しておくと、免疫複合体は糸球体係蹄壁に沿って沈着する様になり、又電顕的には糸球体係蹄上皮下に沈着物がみとめられた。一般に陽荷電の抗原を用いるとこの様な免疫複合体の変化が発生するが、この理由として、一つには単にcharge barrierの変化によるものではなく、陽荷電抗原を持つ免疫複合体は親和性が低下し、互いに解離し、上皮下に再び沈着物を形成するという可能性も指摘されている。そこで我々は、ダウノマイシン投与下における免疫複合体の親和性を、ABC300になって評価したが、ダウノマイシン投与による変化はみとめられなかった。したがって糸球体への免疫複合体沈着は、GBM自体のcharge及至、size barrierの変化によってその分布が変化することが証明された。このことはヒトの腎炎における免疫複合体沈着制抑への可能性を開くものと考えられる。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] K.Ikuma,;N.Honda,;K.Yonemura,;A.Hishida,;M.Nagase.: Nephron. 48. 306-309 (1988)
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[Publications] Y.Ohyama,;Y.Hirabayashi,;K.Mizoguchi,;M.Nagase,;N.Honda,;K.Nishimura.: Japan.J.Exp.Med.58. 15-19 (1988)
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[Publications] Y.Fujigaki,;M.Nagase,;S.Kobayashi,;N.Honda.: Virch.Arch.Pathol.Anat.413. 159-165 (1988)
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[Publications] T.Yamamoto,;M.Nagase,;N.Honda.: Clin.Immunol.Immunopathol.47. 27-38 (1988)
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[Publications] M.Nagase,;K.Sakakibara,;N.Honda,;Y.Takada,;A.Takada.: Contribution to Nephrology. 68. 141-148 (1988)
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[Publications] Y.Fujigaki,;S.Kobayashi,;M.Nagase,;N.Honda.: J.Clin.Electron Microscopy. 20. 5-6 (1988)
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[Publications] 長瀬光昌: "今日の診断指針 第2版" 医学書院, 2 (1988)