1988 Fiscal Year Annual Research Report
非A非B型(NANB)肝炎にみられる核内粒子の酵素電顕による検討
Project/Area Number |
62570315
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小島 隆 日本大学, 医学部, 講師 (10126518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前野 貢 日本大学, 医学部, 助手 (10190315)
杉谷 雅彦 日本大学, 医学部, 助手 (40187654)
鈴木 高祐 日本大学, 医学部, 講師 (00158974)
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Keywords | DELTA(δ)肝炎ウイルス / 非A非B型肝炎ウイルス / 核内粒子 / 核酸細胞化学 / 免疫電顕法 |
Research Abstract |
(1)免疫電顕法によるdelta肝炎症例の検討により、肝細胞核内のδ抗原は核内粒子(非A非B型肝炎で最初に報告された直径20-30nmの粒子)にその活性のあることが観察され、この核内粒子がδ感染粒子の内部粒子である可能性が想定された。 (2)RNAse-gold complexesを用いた酵素電顕による肝細胞内RNA局在の検討では、核内では核小体、クロマチン領域に認められ、一方、肝細胞質内では粗面小胞体のリボゾームおよびポリゾームに観察された。δ肝炎症例における核内粒子の検討では、核のクロマチン領域に直径20-30nmの粒子様構造物が集簇して観察され、その核内粒子にもgold-particlesが観察された。 免疫電顕によるδ抗原の検討(1)により、核内粒子がδ抗原活性をもつことが明らかにされ、更に酵素電顕による検討(2)で、この核内粒子がRNAをも構成素材としていることが明らかにされた。その結果、核内粒子がHDVの内部粒子である可能性が強く想定された。 (3)非A非B型肝炎ウイルス発見の試みは、主としてチンパンジー生検肝組織を用いて行った。経時的生検肝組織を通常電顕で観察すると、核内粒子の他に、細胞質内にdouble unit membraneやcurved membraneが認められた。また、δ肝炎にみられる程の高頻度ではないが、核内粒子も確認された。酵素電顕による検討では、核内粒子はRNAse-gold complexesで標識されたが、細胞質内の特殊な構造物であるdouble unit membraneやcurved membraneは、RNA、DNAともに含有していないことが明らかになった。すなわち、上記構造物は非A非B型肝炎ウイルスと直接関係したものではないものと推測された。現在、この核酸を標識した超薄切片を電子顕微鏡で観察することにより、感染肝組織内非A非B型肝炎ウイルスの固定を試みている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 小島隆 他: 肝臓. 29. 123 (1988)
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[Publications] 小島隆: フォーラム肝炎と免疫(1)B型肝炎とインターフェロン中外医学社. 1987. (134-141)
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[Publications] T.Kojima,et al.: Liver.
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[Publications] T.Kojima,et al.: J Med Virol.
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[Publications] 小島隆: 富山医薬大医誌. 1. 27-30 (1987)