1988 Fiscal Year Annual Research Report
ダニによるIgEタイプの実験喘息モデルの作成と諸研究への応用
Project/Area Number |
62570343
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 幸治 東京大学, 医学部, 文部教官講師 (10008310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 彰 東京大学, 医学部, 助手 (80202927)
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Keywords | モルモット実験喘息 / モルモットIgE / 経口減感作 / ダニ / 点鼻感作 |
Research Abstract |
(1)ダニ抗原による経口減感作療法 経口減感作療法は従来の注射法に比し安全性、簡便性の点ではるかにまさる。ダニにおいてその使用の有効性を確かめるためモルモット実験喘息に使用した。ダニ蛋白10μgをアラムと共に4回4週おきに腹腔内免疫し第1回注射後のみ26日目にcyclophosphamide 250mg/Kg体重を腹腔内注射した。24匹を4群に分け免疫終了後20日目にダニ吸入誘発閾値量を測定し、その7日後より0、1、10、100mg/匹を2週間の間に10回経口投与した。経口投与前の閾値は2mg/m1前後で群間に差はなかった。経口投与終了翌日と11日目に経口投与群にダニ吸入閾値は有意に上昇した。しかし18日目には有意差はなかった。ヒスタミン吸入閾値は経口投与群で上昇傾向はあったが有意ではなかった。すなわちなるべく連続して経口投与する事が発作をおさえるのに役立っている。この方法は人への応用が期待できるすぐれた方法と思われる。 (2)経鼻ダニ感作による実験喘息 抗原をアラムと共にモルモット腹腔内に免疫注射するとIgE抗体が産生される。しかし人の喘息では主としてアレルゲンの吸入によると思われる。卵白などの抗原を吸入させているうちに喘息が発症するがIgG1抗体は検出されるがIgE抗体は検出されない。ダニの吸入では抗体産生もなく喘息も発症しない。そこで10μgのダニ蛋白をアラムと混合して4週間ごとに3回点鼻して2週間後に採血した所、IgE抗体が5匹中2匹に検出され、そのうち1匹はダニ抗原吸入により喘息を発症した。これは人の喘息患者における感作機序を示唆するものかも知れない。また人の喘息に極めて近いモデルを提供し得るものである。
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[Publications] 石井彰、猪好孝、奥平博、伊藤幸治、宮本昭正: 日本胸部疾患学会雑誌. 26. 124 (1988)
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[Publications] 伊藤幸治、石井彰、猪好孝、宮本昭正: 日本胸部疾患学会雑誌. 26. 458 (1988)
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[Publications] Ito,K.;Ishii,A.;Yamashita,N.;Miyamoto,T.;Watanabe,N.: International Archives of Allergy and Applied Immunology. (1980)