1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570349
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
安藤 正幸 熊本大学, 医学部, 助教授 (00040204)
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Keywords | 夏型過敏症肺臓炎 / トリコスポロン・クタネウム / 吸収誘発試験 / serotype関連抗原 / sick-house syndrome |
Research Abstract |
夏型過敏症肺臓炎の原因抗原と発症機構について検討し、以下の成績を得た。 1.吸入誘発試験による原因抗原の検討 トリコスポロン・クタネウムが夏型過敏症肺臓炎の原因抗原であることを確定するために、同抗原を用いて吸入誘発試験を行った。抗原にはTIMM1573(serotype I)とTIMM1318(serotype II)の培養濾液抗原を用いた。その結果、患者17例中16例(95%)が陽性であり、陰性は僅か1例にすぎなかった。なお、吸入誘発試験の成績は吸入抗原のserotypeと関連しており、IおよびIIの両方に陽性のもの4例、Iのみに陽性のもの5例、IIにのみ陽性のもの7例であった。これらの成績を環境から分離された本真菌のserotypeと対比すると、82.4%の症例で両者が一致していた。吸収誘発陰性の1家庭からは新しいserotypeの本真菌が分離された。また、抗体陽性非発症家族の2例はいづれも陰性であった。以上の成績は本真菌が本症の原因抗原が重要であることを示している。 2.発症機構の検討 夏型過敏症肺臓炎の21家庭は全例木造家屋であり、築後19年を経ていた。その多くは日当りや通気が悪く、湿気の多い場所がありトリコスポロン・クタネウムはこれらの場所にある腐木、畳、寝具、インコの糞に増殖していた。つまり、同菌は高温、多湿な条件下に腐木などを栄養源として増殖していたことから、本症は発症環境の面からsick-house syndromeの概念で掟えられるべき疾患であると言えよう。
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[Publications] Sakata,T.;Soda,K.;Ando,M.;Shimazu,K;Araki,S.: Journal Clinical Laboratory Immunology. 25. 191-199 (1988)
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[Publications] Ando,M.;Hirayama,K.;Soda,K.;Okubo,R.;Araki,S.;Sasazuki,T.: American Review of Respiratory Disease.
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[Publications] Yoshida,K.;Ando,M.;Sakata,T.;Araki,S.: Archives Envronmental Health.
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[Publications] Ando,M.;Sakata,T.;Yoshida,K.;Araki,S.;Onoue,K.;Shinoda,T.: Journal of Allergy and Clinical Immunology.
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[Publications] Yamasaki,H.;Ando,M.;Sakata,T.;Araki,S.;Onoue,K.: American Review of Respiratory Disease.