1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570350
|
Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
那須 勝 大分医科大学, 医学部, 教授 (70039874)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 純 大分医科大学, 医学部, 助手 (80153758)
田代 隆良 大分医科大学, 医学部, 講師 (40163456)
|
Keywords | 無芽胞嫌気性菌 / 実験肺炎 / 複数菌感染 |
Research Abstract |
無芽胞嫌気性菌のうち、臨床的に最も重要なBacteroides属のなかで病原性の強いB.fragilisを用いて、嫌気性菌性肺炎の成立に関する研究を行った。 前年度の研究では、Bacteroides属のうちB.fragilisが最も毒力が強く、さらに好景性菌特に大腸菌との混合感染にてその病原性が著しく増強されることがモルモットの肺感染実験で明らかになった。形成された肺炎像を組織学的に検討すると、菌接種3日目までは急性肺炎像を呈し、菌接種7日目以降では炎症細胞の浸潤に加えて、周囲の間質の線維化と膿瘍形成がみられた。菌の回収では、3日目までは大腸菌が、7日目以降はB.fragilisが優位に回収された。以上より、急性炎症期には大腸菌が、それ以降の膿瘍形成期にはB.fragilisが関与することが示唆された。 また、フローサイトメトリーを用いたin vitro実験においてマウス肺胞マクロファージの細菌貧食能は、B.fragilisや大腸菌の単独菌に比べて、両菌の混合では大腸菌の貧食率の低下がみられた。 そこで、臨床上問題となるcompromised hostでの嫌気性菌性肺炎に対する治療実験を行った。免疫抑制剤前処理と未処理のモルモットに対し所定方法で菌接種を行い、その後に大腸菌とB.fragilisのそれぞれを標的に抗生物質を投与した。その結果、免疫正常群では、大腸菌に対する化学療法を行えば肺炎は治癒するが、免疫抑制群では大腸菌に対する化学療法のみでは肺炎は改善せず、重篤化し死亡する例が多くみられた。 高齢者やcompromised hostで重篤化しやすい嫌気性菌性肺炎の成立には好気性菌の関与が重要であり、菌発育の環境形成や食細胞からのがれるために両菌は協力的に共存している。さらにこれらによる肺炎では、両菌に対する治療が必須である。
|
Research Products
(2 results)