1987 Fiscal Year Annual Research Report
先天性および後天性限局性皮膚色素脱失症の成因並びに治療に関する研究
Project/Area Number |
62570459
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
濱田 稔夫 大阪市立大学, 医学部, 教授 (80046870)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺尾 祐一 大阪市立大学, 医学部, 助手 (40163901)
|
Keywords | 後天性遠心性白斑 / Sutton白斑 / 先天性遠心性白斑 / halo nevus / まだら症?piebaldism / 皮膚色素脱失症 |
Research Abstract |
後天性の遠心性白斑(Sutton白斑)の中心母斑は組織学的に母斑細胞母斑である場合がほとんどで, 母斑細胞(主にB型)は減少し, A, B型母斑細胞も多くは変性し, リンパ球浸潤も著明にみられた. 先天性の遠心性白斑について検索し, 中心母斑は複合母斑で, 真皮における網密なリンパ球湿潤を欠く非炎症型であった. 電顕的に白斑部表皮においては, メラノサイトはその数が減少し, 細胞質内には球状・顆粒性メラノソームを主体とする異常メラノソームが豊富に観察され, 表皮基底層上に増加したランゲルハンス細胞のあるものはリンパ球と並列して接触していた. 表皮内母斑細胞巣においてランゲルハンス細胞は増加し, 多数の開大した小胞体や空胞を有するものや, 細胞膜が不規則かつ不連績で細胞質内小器官の流出増を示すものが観察された. 表皮内母斑細胞のあるものは細胞融解を示し, 一部に表皮内母斑の構築の破壊がみられた. 真皮内母斑細胞には著変はみられなかった. 以上より先天性の遠心性白斑においては, 白斑の発生のみならず, 表皮内母斑の退縮にもランゲルハンス細胞を始めとする一種の細胞媒介性免疫が関与している可能性が強く示唆された. まだら症(piebaldesm)を先天性限局性の完全白斑で, 今回の検索では, 白斑部の生検標本にて電顕的にもメラノサイトが存在していない症例とともに, 11か月女児例の経過中に, 白斑の縮小と白斑内の色素斑の出現をみた9歳, 女児について検討した. 白斑部には, 電顕的にメラノサイトが全く存在しない部分と, 第2〜3期メラノソームをもつメラノサイトがかなり存在する部分があり, ソラーレン外用と長波長紫外線照射(PUVA療法)を施行したところ, さらに色素斑の拡大と白斑の縮小をみた. まだら症の白斑部には不完全メラノサイトの存在するある表現型が存在する可能性が示唆され, 生後の色素斑の出現と拡大は, これらの不完全メラノサイトが色素産生を行なうようになった結果であると推察した.
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 北島淳一 他: 日本皮膚科学会雑誌. 97. 545-553 (1987)
-
[Publications] 濱田稔夫: 綜合臨床. 36. 915-919 (1987)
-
[Publications] 濱田稔夫 他: "「皮膚疾患最新の治療'87〜'88」"尋常性白斑"" 株式会社南江堂, 217-218 (1987)
-
[Publications] 濱田稔夫 他: "「皮膚科専門医テキスト」"色素脱失症"" 株式会社南江堂,