1988 Fiscal Year Annual Research Report
造血細胞の分化と増殖からみた造血幹細胞異常症に関する基礎的ならびに臨床的研究
Project/Area Number |
62570542
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 弥太郎 京都大学, 医学部内科第一講座, 講師 (80064525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 司久 滋賀大学, 保健管理センター, 教授 (50026829)
伊藤 和彦 京都大学, 医学部, 講師 (50034640)
内野 治人 京都大学, 医学部内科第一講座, 教授 (40034615)
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Keywords | 造血幹細胞 / 血球の分化と増殖 / 造血因子とレセプター / 腎性貧血 / 不応性貧血 / 前白血病 |
Research Abstract |
1.プロスタグランディンE_2(PGE_2)とCSFとの相互作用 顆粒球単球系前駆細胞CFUgmに対するPGE_2の抑制作用は、過剰のG-CSF、GM-CSFが存在すると認められなくなる。KG_1細胞を用いてPGE_2とGM-CSFとの相互作用を、CSFレセプター解析、レセプター以降の情報伝達系で検討した。その成績から、PGE_2はKG_1細胞のCSFレセプターには影響しないが、CSFがレセプターと結合した以降の過程で作用することが示唆された。 2.腎性貧血とエリスロポエチン(Epo) 血液透析中の腎性貧血患者で、組替え型Epo投与前後の骨髄のBFUeとCFUeを検討した。Epo投与前の骨髄CFUeは高値であるが、Epo投与後の安定期では貧血改善とともにCFUeはむしろ低値を示した。骨髄赤芽球数には前後で有意差はなかった。腎性貧血ではEpo欠乏のため骨髄のCFUeは生体内で貧血を十分に代償しえないと思われた。 3.幹細胞異常症としての不応性貧血の病態 のべ200例以上の骨髄の培養を行い、病型の如何を問わず各種造血前駆細胞のコロニー形成は不良である。未治療時の骨髄CFUgmの生育状態は生存期間と有意に関連するのみならず、同一例でCFUgmの生育パターンの変化を追跡すると、現実の予後(安定経過:白血病化:骨髄不全死)とよく相関している。本症骨髄の特徴たる無効造血は、CFUgmやCFUeの培養系で、個々の増殖細胞のクローンとしての経時的増殖と分化をマッピングしたシャーレ内で観察することによって確認できた。すなわちコロニー形成に至らないクローンの多くは、培養終了までの過程で変性像を示し、増殖が停止していることが明らかになった。無効造血のin vitroでの証明と見なしうると思われた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Hitoshi Sawada: Acta Haematologica Japonica. 51. 816-820 (1988)
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[Publications] Yataro Yoshida: Acta Haematologica Japonica. 51. 1092-1096 (1988)
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[Publications] Yataro Yoshida: Journal of Clinical Pathology. 41. 763-767 (1988)
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[Publications] Hiroto Sakoda: Biomedicine and Pharmacotherapy. 42. 335-341 (1988)
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[Publications] Yataro Yoshida: Acta Haematologica Japonica. 51. 1448-1454 (1988)
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[Publications] Seiighi Ohmori: Acta Haematologica Japonica. 51. 1558-1564 (1988)
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[Publications] Haruto Uchino;Fumimaro Takaku;Yataro Yoshida: "Myelodysplastic Syndromes Pathophysiology and Treatment" Elsevier, 1-217 (1988)
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[Publications] 吉田弥太郎: "白血病・悪性リンパ腫" 南江堂, 173-178 (1988)