1988 Fiscal Year Annual Research Report
胃癌・大腸癌の増殖因子及び抑制因子と組織内ポリアミン
Project/Area Number |
62570559
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
中野 眼一 群馬大学, 医学部 第1外科, 助教授 (80008325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹之下 誠一 群馬大学, 医学部 第1外科, 助手 (10167489)
松崎 茂 群馬大学, 医学部内分泌研究所, 助教授 (60008604)
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Keywords | 胆汁酸 / ポリアミン / 胃癌 / 大腸癌 / 飽和脂肪酸 / 不飽和脂肪酸 |
Research Abstract |
昭和63年度は、胃癌の増殖因子として胆汁酸、大腸癌の増殖因子として飽和・不飽和脂肪酸を犬又はラットに投与して発癌状態を検討し、その状況における胃粘膜或いは大腸粘膜内のポリアミン濃度を測定し、発癌とポリアミンの関係を追求した。 1.残胃癌発生と残胃吻合部粘膜のポリアミンについて ビーグル犬を用い、胃切を行い残胃を作製し、BillrothI法、BillrothII法、RouxーY法で再建し、イニシエーターとしてENNGを4ケ月間投与した。投与後2ケ月ごとに残胃粘膜を生検し、細胞の異型性の変化を観察すると同時に生検材料からポリアミン濃度を測定した。ポリアミンはPUT、SPD、SPMを吻合部と胃体部粘膜について測定した。その結果、胃体部と比較して吻合部のポリアミンは高濃度を示した。また術式別では、BーII>BーI>RーY法の順に高値を示し、細胞の異型度とほぼ一致した。即ち、胆汁酸の影響を強く受ける粘膜ほど細胞異型が強く、ポリアミン値も高く、細胞活性が高まっていることが判明した。 2.飽和・不飽和脂肪酸の大腸癌発生に及ぼす影響と大腸粘膜のポリアミンについて ウイスター系ラットに飽和脂肪酸含有食として5%ラード食(MFL群)と不飽和脂肪酸含有食として5%大豆油食(MFD群)と標準食(MF群)の如く脂肪食を投与し、大腸癌の発生率と大腸粘膜のポリアミン濃度を検出した。その結果、大腸癌の発生率はMFD群85.7%、MFL群75%、MF群50%とMFD群が高頻度であった。ポリアミン値をみるとイニシエーターとして用いたDMH投与ラットのポリアミンは非投与ラットより高値でありPUT、SPD、SPMともMFD群が高く、次いでMFL群で、MFが最低値を示した。即ち不飽和脂肪酸の方が飽和脂肪酸より大腸癌発生に関与していることが示唆された。
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[Publications] G.NAKANO T.Kurihara et al.: The Proceeding of the 8th Asian Pacific congress of Gastroentelorogy.(1988)
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[Publications] 鈴木丹次,中野眼一 他: 北関東医学. 37(6). 563ー570 (1987)
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[Publications] 中野眼一 他: 癌と化学療法. (1989)
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[Publications] 中野眼一: 医学のあゆみ. 147(7). 613 (1988)
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[Publications] K.Hamana;S.Matsuzaki;et al.: FEMS Microbiology Letters. 50. 11ー16 (1988)
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[Publications] H.Sugimoto;S.Yamada;T.Arai;S,KObayashi K.Hamano;S.Matuzaki: Hepatology. 8(2). 267ー271 (1988)
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[Publications] 中野眼一,中村卓次: "いわゆる前癌病変、胃癌、臨床visual Mook." 金原出版, 28ー37 (1988)
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[Publications] 中野眼一: "下血、外科合併症Decision Makingーフローチャートでみる治療指針ー" 医学書院, 36ー37 (1989)