1987 Fiscal Year Annual Research Report
血小板エネルギーチャージの全身代謝機能評価における意義
Project/Area Number |
62570566
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 敬一郎 京都大学, 医学部, 助手 (80159186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 展章 京都大学, 医学部, 講師 (60135564)
山岡 義生 京都大学, 医学部, 講師 (90089102)
小澤 和恵 京都大学, 医学部, 教授 (00026858)
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Keywords | 血小板 / エネルギー代償 / 肝硬変 / 肝切除術 |
Research Abstract |
肝硬変患者における血小板のエネルギー代謝を研究する目的で, 血小板を^<14>Cアデニンで標識する方法を用いて血小板エネルギーチャージを測定して, 以下の知見を得た. 1.多血小板の血血漿C^<14>アデニンを30分間37°Cでインキュベートレ, 過塩素酸で〓出し薄層クロマトグラフィーで分離する方法を用いて, 血小板数10^4μl〓上の他血小板漿で, 正確に血小板エネルギーチャージを測定することが可能であることが示された. 2.代償性肝硬変患者の血小板エネルギーチャージを正常人の血小板エネルギーチャージとの間に有意差は認められなかった. 3.血小板内のアデニンヌクレオタイドの分布については, 代償性肝硬変患者においてATPの割合は正常人に比して有意に低く, 一方ハイポキサンチンの割合は有意に高かった. この結果より, 代償性肝硬変患者では正常人に比して血小板のエネルギー済費が亢進していることが示唆された. しかしエネルギーチャージ値については代償範囲内であるため, 有意の低下は認められないものと考えられた. 4.肝切除術後の肝硬変患者では非硬変患者の肝切除術後に比して, 術後1, 2, 3日目に血小板エネルギーチャージは有意の低下を示した. 一方血小板数の有意の低下は認められなかった. この結果より, 臨床的にDICをみとめない場合にも, 肝硬変患者の肝切除後には血小板のエネルギー消費は代償範囲内を越えて著しく亢進しており, 何らかの血小板活性化機転が存在することが示唆された. 今後は, 肝硬変患者の肝切除後の血小板エネルギー代償異常のメカニズムを, 肝のエネルギー代償状態を関連させて明らかにしていくことが必要と考えられる.
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