1987 Fiscal Year Annual Research Report
肝癌切除後再発防止を目的とした肝癌特異的モノクローナル抗体の応用
Project/Area Number |
62570587
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大内 清昭 東北大学, 医学部・付属病院, 講師 (20124555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 修二 東北大学, 医学部・付属病院, 講師 (20165856)
大和田 康夫 仙台徳洲会病院, 外科部長 (80004951)
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Keywords | 肝細胞癌 / マウスモノクローナル抗体 / 肝切除後再発防止 / 抗体の集積性 / 腫瘍増殖 / 肝癌流 / 肝動脈内投与 |
Research Abstract |
マウスモノクローナル抗体のヌードマウス移植ヒト肝癌の増殖に対する影響を検討する目的で, 肝癌手術症例より肝癌細胞株(HT-17)の樹立に成功した. まず, この樹立肝癌細胞の形態, 染色体, 腫瘍抗原, 酵素活性などの特徴につき検討を加えた. この肝癌細胞膜分画を抗原としてマウスモノクローナル抗体L-8-1を作成した. 本抗体と肝癌組織との反応性は6例中5例に陽性で, 肝細胞腺腫及び正常肝とは反応しなかった. また, ヌードマウス大腿皮下にH-T-17を1〜5×10^6を移植し^<131>I標識L-8-1を投与したところ, 3日及び5日後のシンチグラムにより腫瘍部に抗体が集積することを確認した. 3日後の腫瘍1g当たりに集積したL-8-1抗体の量は, 投与量の6.7%で, 肝, 脾, 腎, 肺に比べ有意に高かった. 細胞数が1〜2×10^6個では抗体投与による腫瘍増殖が抑制されたが, 3〜5×10^6では抑制効果は認められなかった. ついでヌードマウス肝にHT-17を1×10^6個移植したものを摘出し, TN式摘出臓器潅流装置を用いて肝潅流を施行した. 希釈血液を用いた灌流液中にL-8-1を投与し, それが特異的に肝癌に集積することを確認した. 補助金はすべて培地その他の消耗品に使用した. 今後は, マウスモノクローナル抗体L-8-1を^<131>Iにて標識し, 皮内反応等にて安全性を確認後, その微量を肝癌患者の肝動脈内に投与し, その肝癌集積性及び副作用の検討を行う. それで安全性に問題がない場合には, 肝切除術後の再発防止を目的として肝切除後肝動脈よりL-8-1を投与し, 経過をtumor marker及び画像診断などにて詳細にfollow-upする予定である.
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