1988 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス潰瘍発生予防に対するTPNの効果についての実験的検討
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62570618
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
久保 宏隆 東京慈恵会医科大学, 第2外科教室, 講師 (70119791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 訓也 東京慈恵会医科大学, 第2外科学教室, 助手 (20199524)
吉井 修二 東京慈恵会医科大学, 第2外科学教室, 助手 (50200928)
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Keywords | 1.高カロリー輸液 / 2.ストレス潰瘍 / 3.胃粘膜ムコ物質 / 4.ヘキソサミン / 5.胃粘膜増殖細胞帯 / 6.胃粘膜ー粘液関門 |
Research Abstract |
ストレス負荷時にIVHを施行することは、ストレス潰瘍発生に対して抑制効果をもつことが渋の結果より考えられる。1.潰瘍係数の変動よりみると、ストレス負荷3時間以降、時間の経過に伴って、IVH施行群は非施行群に対して有意に低値となる。(ストレス負荷8時間の潰瘍系数はIVH施行群で0.8±0.3、非施行群で2.8±0.1:P<0.001)2.肉眼的・組織学的にみると、ストレス負荷中にIVHを施行した群では非施行群に比べて、ストレス負荷3、5、8時間で「びラン」の深さや広さにおいて有意に抑制が認められた。しかし粘膜下層の動脈の狭小化や静脈の拡張、浮腫といった循環障害は両群に差異を認めなかった。3.ストレス負句時にIVHを施行した群では、非施行群に対して有意に胃粘膜ムコ物質のPAS陽性物質、AB陽性物質、ヘキソサミン量は高値を示した(ストレス負荷8時間のIVH施行群:非施行群の値は、PAS陽性物質:胃低腺領域では18.1±4.1%、5.4±8.4%、幽門腺領域で25.9±0.1%、11.0±3.9%でともにP<0.05AB物質は、胃底腺領域で14.0±3.1%、2.4±3.6%でP<0.01、幽門腺領域では23.2±9.0%、18.1±2.9%、粘液内ヘキソサミン量は15.47±4.60μg/ml、6.80±3.20μg/ml P<0.02であった)4.ストレス潰瘍発生の攻撃因子として血清ガストリン、ペプシノーゲンを測定したが、IVH施行群は非成行群と有意差を認めない。すなわち、ストレス負荷中にIVHを施行しても攻撃因子を抑制しえないということがわかった。以上の知見より、ストレス負荷中にIVHを施行し、糖、アミノ酸といったエネルギー源およびDNA今成源を投与することによって、胃粘膜におけるgenerative cell zone(増殖細胞帯)の活性化がおこり、その結果胃粘膜ムコ物質の増量が起こることによって、胃粘膜防御因子である胃粘膜ー粘液関門の増強がおこり、ストレス潰瘍発生を抑制しえたのではないかと考える。又、エネルギー投与は創傷治癒に有理に働くこともストレス潰瘍発生予防の1つの因子と考えられる。
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