1988 Fiscal Year Annual Research Report
小児癌の特性に関する細胞形態学的及び遺伝子学的研究
Project/Area Number |
62570623
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
豊坂 昭弘 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (20068498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
能勢 勝義 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (30189401)
光信 正夫 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (70148667)
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Keywords | 小児癌 / 肝芽腫 / 神経芽腫 / ウイルムス腫瘍 / 小児癌の特性 |
Research Abstract |
本年度の研究では、神経芽腫の腫瘍及び正常胎児及び乳児期の神経細胞をcytometricalに分析し、細胞形態学的な面から、神経芽腫の細胞学的特徴を明らかにする。神経芽腫76例の切除材料と、対照として胎児及び乳児の正常神経細胞及びWilms腫瘍46例を検索した。細胞学的計測にはQuantimet720画像解析装置で観察し、各細胞の核面積(N)及び、細胞面積(C)及び、核、細胞面積比を計測した。神経芽腫では1才未満では、核の大きさは、正常新生児よりも小さく、胎生6ケ月以前に相当する未熟な細胞形態を示しているが、年令と共に急速な増大と異型化が認められた。このうちdiffaseな肝転移をみるIVS期では、他の1才未満群と同様、著しく小型の核を有し、未熟な形態を示した。Wilms腫瘍では核面積は、正常腎細胞と比べ殆ど変らず、正常細胞からの偏位の少ない均一な形態を示し、かつ神経芽腫と異なり年令とは余り関係せず、核異型の少ない腫瘍であり、小児癌の中で最も典型的なembryonic tumorの組織像を示した。 次に正常の神経細胞、腎細胞及び肝細胞の核面積の加齢による変化を調べた。神経細胞は胎児期早期は他の体細胞に比し極めて小型であるが、胎児期後期から急速に増大し、他の体細胞より大型化し、出生後も数年の間増大を示した。一方、他の体細胞(肝、腎)では、胎児期早期からかなりの大きさを示し、生後3カ月以降では殆ど変化がない事を示した。 小児癌の中でもembryonic tumorの細胞形態特徴は、核、細胞共小型で比較的均一で未分化というより未熟な形態を示した。 神経芽腫と、他の小児癌との大きな差異は、神経芽腫が加齢と共に、核の大型化、異型化が著しい点にある。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 豊坂昭弘: 日本外科学会会誌. 88. 1117-1120 (1987)
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[Publications] 豊坂昭弘: 小児がん. 24. 41-43 (1988)
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[Publications] 豊坂昭弘: 臨床と研究. 65(6). 1832-1840 (1988)
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[Publications] Akihiro Toyosaka: 21st Annual Meeting of Pacific Association of Pediatric Surgeous.April 1988.
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[Publications] 能勢勝義: 小児がん. 25. (1989)