1989 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト悪性glioma細胞株(TM-1)における自己増殖促進物質の分離と精製
Project/Area Number |
62570650
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
岡 伸夫 富山医科薬科大学, 附属病院, 講師 (10135006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 研治 富山医科薬科大学, 附属病院, 助手 (90159476)
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Keywords | 悪性神経膠腫 / 細胞成長因子 / 組織培養 / 自己分泌作用 / 細胞株 |
Research Abstract |
〔目的〕ヒト悪性glioma細胞株(TM-1)の培養上清液には、TM-1、ヒトfibroblast(Fbts)、ラットgliaの増殖を促進する物質が含まれている。本研究では、その生物学的・生化学的分析を行い、既知の増殖因子と比較検討することを目的とした。 〔方法・結果〕1.TM-1を無血清培地(SF-M)で培養し、その上清液を超遠心した。1%酢酸で透析後凍結乾燥し、1M酢酸可溶画分(FDAA)を得、更にBio-Gel P60にてグル濾過し分画した。(1)NRK49F細胞を、10%FCSとDMEMさらに各分画を加えた0.35%軟寒天倍地中で14日間培養し、20個以上の細胞集団をコロニ-として算定した。5-10kDaと30kDa付近の分画で、NRK49F細胞の軟寒天中でのコロニ-形成促進作用がみられた。(2)ニトロセルロ-ス膜に各分画を吸着させ、ヤギ抗ヒトPDGF抗体、ヤギ抗ヒトTGFα抗体を一次抗体として作用させ、ペルオキシダ-ゼ標識マウス抗ヤギIgG抗体にて処理後DABにて発色した。void volumeと30kDa付近の分画で抗PDGF抗体と反応する物質が存在し、6.5-7.5kDaの各分画で抗TGFα抗体と反応する物質が存在した。2.FDAAと7.5kDa,30kDa付近のゲル濾過分画を化学的・物理的に処理し、TM-1増殖活性にあたえる影響を検討した。boiling,DTT,trypsin処理により、TM-1の[^3H]TdRの取り込みはSF-M時と同程度まで低下した。3.カバ-グラス上に培養したTM-1にマウス抗ヒトEGF-receptor抗体を一次抗体として作用し、streptABC法にて免疫染色を行った。ほとんどのTM-1にEGF receptorが存在した。 〔結論〕TM-1培養上清液中には、TGFs類似のコロニ-形成促進活性や、抗PDGF抗体、抗TGFα抗体と反応する物質が検出された。しかし、その増殖促進活性は熱に不安定であり、既に知られているPDGFやTGFαの性状と異なっていた。またTM-1におけるEGF-receptorの存在は、EGFやTGFαの作用を間接的に裏ずけるものであった。
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