1988 Fiscal Year Annual Research Report
椎間板、酵素注入療法後の椎体固定に関する生力学ならびに生化学的研究
Project/Area Number |
62570694
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Research Institution | KEIO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
平林 洌 慶應義塾大学, 医学部整形外科, 助教授 (60051413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長山 信幸 慶應義塾大学, 医学部整形外科, 助手 (70164473)
小柳 貴裕 慶應義塾大学, 医学部整形外科, 助手 (90162073)
市村 正一 慶應義塾大学, 医学部整形外科, 助手 (00159849)
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Keywords | ケモヌクレオリーシス / コラゲナーゼ / 動的粘弾性 / 椎体固定 / ハイドロキシアパタイト |
Research Abstract |
前年度行った動的粘弾性の実験において、正常群と、酵素注入短、長期群における弾性、粘性成分を、コンピューターを使用して定量的に抽出して比較検討した。この結果、酵素注入により椎間板は変性椎間板と近似した圧迫に対する挙動を示すことが確認された。また定量的データから、椎間板は膝の半月板の機構などより大きな衝撃吸収力をもつことがわかった。ここで、酵素注入椎間板の不安定性から来る腰痛に対処する意図で、コラゲナーゼ注入後、ハイドロキシアパタイトの挿入により椎間に骨誘導が起こりうるのか否かを検討した。15kg前後の犬椎間板に、Sigina社製の粗性コラゲナーゼを用手注入した。コラゲナーゼの濃度は、61年度に行った実験の濃度(10IU/kg)より、100IU/kgまで濃縮したものを使用し、まず注入により椎間板終板が溶解するか否かを調べた。しかし乍ら椎間終板は溶解し得ず、また損傷の度合も、コラゲナーゼの濃度には依存しないことがわかった。そこで椎間板内にコラゲナーゼを注入すると同時に、注入針による終板付近の損傷を加えた。この2週間後反対側より椎間板にハイドロキシアパタイトを挿入した。この手段は煩雑で、充満させることは極めて困難であった。ハイドロキシアパタイトは気孔率70〜80%、焼成温度1300℃、気孔径200〜300μのものを使用した。この後、3〜4週間で屍殺し、ホルマリン固定、半脱灰後のヘマトキシリンーエオシン染色で観察した。しかし乍ら骨誘導はみられず、この方法で椎体固定を完成させることは困難であると判断した。この時点で、61年度よりの生体力学的研究の総括に入った。
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