吸入麻酔剤の心筋内カテコラミン蓄積作用に及ぼす影響

1987 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 62570701
• Research Institution: Kyoto University
• Principal Investigator: 曲渕 達雄 京都大学, 医学部, 助手 (60190328)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 森 健次郎 京都大学, 医学部, 教授 (20025620)
• Keywords: 吸入麻酔薬 / ハロセン / イソプロテレノール / カテコラミン蓄積機構 / ラット心臓

Research Abstract

1.(1)ハロセン麻酔中, タテコラミンの使用はしばしば重篤な心室性不整脈を誘発し, 心室細胞に至ることはよく知られている.
(2)近年, 心室細胞は心筋内カテコラミン蓄積の増大によって惹起することが示唆されている.
(3)本研究の目的は, ハロセンによる不整脈が心筋内カテコラミン蓄積の増大によるものであることを証明しようとするものである.
2.摘出ラット心臓をランゲンドルフ法にて灌流し, 心電図のモニターを行なった. 吸入麻酔剤を飽和させた灌流液で心臓を灌流した後, 30分間イソプロテレノールを灌流液中に加え, この間の不整脈の発現頻度及びイソプロテレノールの心筋内蓄積量を測定した.
3.ハロセン2MAC(1.5%)ではイソプロテレノールは全例(n=4)において心室細胞が発生した. 対照として用いたエーテル2MAC(3.8%)では全例(n=4)において不整脈は認められなかった.
4.心筋内タテコラミン蓄積量は, ハロセン2MAC群では対照群に比べ有意に増加したが, エーテル2MAC群では増加は認められなかった.
5.以上の結果より, 以下の事が推察された.
(1)ハロセンによる不整脈発生機序の研究は従来invivoで行なわれてきたが, 本研究により, 摘出心臓でも不整脈の誘発がみられたことから, その機序の解明がより容易になる.
(2)ハロセン誘発不整脈の機序に心筋内カテコラミン蓄積作用の関与が示唆された.
(3)ハロセンによるイソプロテレノールの心筋内蓄積がどの機構を介しているかを解明する必要がある.

Research Products

• [Publications] Magaribuchi, T: Life Sciences. 42. 753-757 (1988)
• [Publications] Magaribuchi, T: Naunyn-Schmiedeberg's Archives of Pharmacology.