1989 Fiscal Year Annual Research Report
前庭迷路性および視運動性加速度刺激と生体反応の実験的研究
Project/Area Number |
62570782
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
松永 喬 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (10028475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
薗田 史子 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (00211326)
柏木 令子 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (80152635)
北奥 恵之 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (40161468)
藤田 信哉 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (20165385)
田中 治 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (30142384)
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Keywords | 家兎 / 生体反応 / 直線加速度刺激 / 視運動刺激 / 感覚混乱 / 前庭破壊 / 副交感神経 / 動揺病 |
Research Abstract |
目的:動揺病発症機序を最もよく説明するのは現在のところ感覚混乱説である。これを確かめる目的で、前庭情報と視覚情報との間の感覚混乱状態に対する家兎の生体反応を観察し、その入出力について検討した。方法:実験は無麻酔半拘束状態の家兎の(1)作動している刺激装置の横においた状態(コントロ-ル)(2)遮眼にて直線加速度刺激のみを負荷した状態(前庭情報に対する視覚情報の欠如)(3)視運動刺激のみを負荷した状態(視覚情報に対する前庭情報の欠如)(4)直線加速度刺激と視運動刺激を同時負荷した状態(前庭情報と視覚情報の不調和)における心拍数(HR)、心電図R-R間隔変動係数(CV_<RR>)の変化を測定した。直線加速度刺激は前後方向に対して振幅50cm、周波数0.29Hzで、視運動刺激はランダムドットパタ-ンのスクリ-ンを0.2Hz等角速度で、それぞれ300秒間負荷した。また前庭情報を減少させる目的で作成した両前庭破壊家兎や、副交感神経を遮断する目的でアトロピンを処置した家兎に対しても同様の実験を施行した。 結果および考察:(2)によってほとんどの家兎にHRは有意に減少、CV_<RR>は大きく増加するといった特徴ある生体反応が出現した。これらは前庭破壊、アトロピン処置によりほぼ消失したことから、このタイプの感覚混乱状態では前庭-自律反射、恐らくは耳石-副交感神経反射の関与が強いものと推測される。一方、(3)によってはHRがやや増加する程度の小さい生体反応しか現れず、家兎においては視覚入力は前庭入力に比べ影響が小さいものと思われた。しかし(4)によって(2)(3)とは全く異なった個体差のある生体反応を示すことから、視覚は感覚混乱に影響を与えることや感覚混乱のタイプによって生体の反応様式は異なることが示唆された。また(2)(3)(4)いずれも前庭を破壊することにより生体反応は小さくなり、感覚混乱説をうらずける結果となった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 和田佳郎: "家兎の直線加速度刺激に対する生体反応の実験的研究(1)" Ear Research Japan. 19. 450-452 (1988)
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[Publications] 和田佳郎: "家兎の直線加速度刺激に対する生体反応の実験的研究(2)" Ear Research Japan. 20. 355-356 (1989)
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[Publications] 和田佳郎: "家兎の直線加速度刺激に対する生体反応の実験的研究(3)" Ear Research Japan. 21. (1990)