1988 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性網膜症に対する後部硝子体の干渉と牽引性障害
Project/Area Number |
62570793
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
岡野 正 群馬大学, 医学部 眼科, 講師 (00008351)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼賀 哲郎 群馬大学, 医学部 眼科, 助手 (80175520)
岸 章治 群馬大学, 医学部 眼科, 助手 (30125843)
|
Keywords | 硝子体出血 / 線維血管性増殖 / 牽引性網膜剥離 / 硝子体手術 / 糖尿病性網膜症 / 粘弾性分層術 / Viscodelamination / ヒアルロン酸ナトリウム |
Research Abstract |
手術前の硝子体出血例59眼について、硝子体出血が術前に経過した期間による成績の差を検討した。出血後9カ月以内に硝子体手術をした場合には、術後83%に臨床像の改善を得たが、1年以上経過した場合には、悪化が53%を示した。結局、硝子体出血大量接続のケースでは、1年以上放置すべきでなく、9カ月以内に手術に踏みきるべきことがわかった。 線維血管増殖組織の発達過程と、牽引性網膜剥離の程度と状況を標的として、硝子体手術の適応について検索した。139名168眼を対象とした。この結果、網膜剥離がまだ生じないか、あるいは軽い時期に手術を実施した方が手抜も容易で、安全性も高く、視機能の予後もよい。線維血管性増殖膜がまだ幼若な段階の方が安全性が高く、手抜も容易で、視力予後が良い。黄斑部網膜剥離がこないうちに手術した方が、その予後がよい。後部硝子体が剥離しているほど、手術は容易となる。網膜症の増殖膜が発達して、新生血管茎が多く侵入しますと、手術は非常に面倒になり、効果もなく、予後もよくない。適切To early Vitrectomyは安全性も高く効果的である。 発達した線維血管増殖があり、しかも牽引性網膜剥離を伴った重症本症例17眼につき、粘弾性液(1%ヒアルロン酸ナトリウム)による分層術Visioclelaminationを行なった。その結果、本法では、医原性裂孔は24%と低く、剥離網膜は82%で完全復位し、2段階以上の視力向上は76%あり、2段階以上の視力低下はなかった。粘弾性冷層術Viscodelaminationは、従来の硝子体手術では困難であった条件の線維血管性増殖膜や後部硝子体膜の処理に有効な手術を追加したことになる。硝子体手術の安全性を向上させ、治療効果を能率よく高め得たことは、評価されるべきである。本研究の成果を生かして、今後一層、効果的な対策を追求していきたい。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 岡野正: あたらしい眼科. 4. 1337ー1386 (1987)
-
[Publications] 岡野正: 日本眼科紀要. 38. 143ー152 (1987)
-
[Publications] 岡野正 他: 臨床眼科. 43. (1989)
-
[Publications] 岡野正 他: 日本眼科学会雑誌. 93. (1989)
-
[Publications] 岡野正 他: 日本眼科学会雑誌. 93. (1989)
-
[Publications] 岡野正 他: 臨床眼科. 44. (1990)