1987 Fiscal Year Annual Research Report
生体材料を用した生活断髄後の庇蓋硬組織形成の誘導に関する研究
Project/Area Number |
62570912
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
高木 裕三 東京医科歯科大学, 歯学部, 助教授 (30124697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 純二 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (80177451)
田中 光郎 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (10143596)
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Keywords | 生活断髄 / 庇蓋硬組織 / 象牙質 / リン蛋白質 / 移植 / 石灰化 |
Research Abstract |
今年度計画の最初にあげた象牙質からの各種有機基質の単離, 精製については, まず象牙質の脱灰法を酢酸脱灰と中性EDTA脱灰の2種類で検討し, 特にリン蛋白質のためには前者を利用, その他の蛋白質については後者を用いることが合理的であることがわかった. リン蛋白質についてはすでに単離し, 本年度計画の第4にあげた生体内での石灰化の誘導実験に供している. 一方この蛋白質については象牙質での含量を定量することも可能になったため, 局所におけるリン蛋白質の分布を調べた所その分布は一様ではなく, 歯根象牙質には歯冠象牙質の半分しか含まれていないことが示された. すでに開発したリン蛋白質の染色法を利用しこれをたしかめた所, 組織化学的にも染色性の差が認められ, とくに歯頸部を境にリン蛋白質の含量が突然変化していることがわかった. このように歯冠象牙質と歯根象牙質では生化学的組成が異なることが示唆されたため両者は石灰化の機構が異なる可能性も考えられる. このことは今後象牙質の石灰化の研究に多くの示唆を与えるものと考えられる. 研究計画第4にあげた石灰化の誘導実践では, 精製しただけのイオン化したリン蛋白質は石灰化を誘導しないが, 陽イオンと結合させたものはラット皮下に移植すると術後5日目から硬組織が形成されはじめ, 10日でその量が最大になることが示された. 今後は誘導された硬組織を組織学的および物理化学的に性質を明らかにするとともに, 次年度計画での断髄実験に移行する計画である.
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