1988 Fiscal Year Annual Research Report
中・高校生集団における歯周疾患の疫学的解析ー特に交絡因子の検討ー
Project/Area Number |
62570923
|
Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
中尾 俊一 明海大学, 歯学部, 教授 (40049359)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野澤 裕彦 明海大学, 歯学部, 講師 (90152545)
田中 園治 明海大学, 歯学部, 講師 (00146234)
安井 利一 明海大学, 歯学部, 助教授 (20146252)
|
Keywords | 中学生 / 高校生 / 歯周疾患 / 疫学 / 交絡因子 |
Research Abstract |
我が国では、10歳以上の男女の90%以上に何らかの歯周疾患が認められると言われている。近年、成人を対象にした疫学調査は多いが、中学生および高校生を対象にした調査・研究は比較的少ない。そこで、本研究では、昭和62年度に埼玉県下私立中学校生徒を対象に調査した。本年度は、高校生142名(1年生79名、2年生63名)を対象として歯周疾患罹患状態をPMAindexおよびCPI-TNを用いて評価した。同時に、DMFTindex、唾液潜血試験、OHIーSについて評価した。さらに、歯科質問調査票と心理テストとしてCMI、YーG、MASを実施し個人特性の評価を実施した。その結果、PMAindexの平均値は各々1年生4.10、2年生3.65と2年生で減少を示した。この結果と同様に、CPI-TNにおいても2年生ではコード2以上を示す生徒が1年生の約1/2を示した。また、唾液潜血試験においても、2年生で多量出血を示す者が減少した。これら2年生での歯周状態の良好さは、歯口清掃状態の良否にあると推察された。すなわち、OHI-Sの平均値をみると1年生で0.49、2年生で0.38となっていた。一方、う蝕経験をDMFTindexでみると、1年生5.20本、2年生6.65本と2年生で高くなっているが、その原因はF歯の増加にあった。このような状態がいかなる因子によって規定されているものかについて、歯科質問票による個人の知識、行動、経験などの特性因子と心理学的特性について解析を実施した。OHIーSの低いことが現症との直接的因子とすれば、その状態をつくり出している個人の特性、すなわち間接的因子と考え得る事項は、出血に対する現症認識と1年生に比べ若干知識があることであり、意外と意識や関心度と言った動機づけ的要素での相違は認められなかった。さらに、心理学的要素として、MASによる不安欠度を検討した結果、低不安群でPMAindexが低い値となっており、歯科保健行動に何らかの影響を与えていると考えられた。
|