1987 Fiscal Year Annual Research Report
脳内オピオイドペプチドの高選択的高感度HPLCの開発
Project/Area Number |
62570969
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大倉 洋甫 九州大学, 薬学部, 教授 (00037574)
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Keywords | オピオイドペプチド / エンケフアリン / N末端ナロシン含有ペプチド / 高速液体クロマトグラフィー / プレカラム蛍光誘導体化反応 / 蛍光検出 / 高感度分析法の開発 |
Research Abstract |
内因性モルヒネ様(オピオイド)ペプチドは, アミノ酸配列のN末端にチロシル残基を有する. 本研究において, 研究代表者らが既に見い出しているN末端チロシン含有ペプチド類に極めて高選択的な新しい蛍光反応をHPLCのプレカラム蛍光誘導体化反応に適用し, 蛍光検出・逆相HPLCによって脳内に存在するロイシンエンケファリン(LEK)及びメチオニンエンケファリン(MEK)の定量を可能にした. 開発した分析法は次の操作からなる. 1.脳試料の調製:脳組織を0.1MHClでホモジネートする. 過塩素酸を加え除蛋白し, 得られる上清をNaHCO_3で中和したのち, EDTA・2Naを加え逆相分配型のミニカートリッジに試料を注ぐ, カートリッジは, 酸性及びアルカリ性並びに極性の低い物質を溶出除去するために, アルカリ及び酸性の水溶液及びジクロロメタンで洗浄する. エンケファリン類はメタノールで溶出する. 2.蛍光誘導体化反応とHPLC:ペプチドの水溶液50μlに0.4Mホウ酸塩緩衝液(pH8.5)25μl, 5mMシュウ酸ヒドロキシルアミンー0.5mM酢酸コバルトの混液25μlを加える. 100°Cで3分間加熱したのち, 20mMβ-メルカプトエタノール25μlを加え, 反応液100μlをHPLCに付す. 生成したエンケファリン蛍光体の分離は, TSKgel ODS-120Tカラムを用い, 溶離液に0.1Mホウ酸塩緩衝液(pH8.5)及び10mMテトラーハーブチルアンモニウム塩をそれぞれ45%及び15%含むアセトニトリル混液を選択し, アセトニトリルの2-26%グラジエント溶離によって行う. 流速は1ml/minで, 蛍光検出は励起波長340nm及び発光波長435nmで行う. 上記の方法により, ラット脳内のLEK及びMEKを260-270fmol/HPLC注入量の検出限界(S/N=2)で簡便にかつ迅速に一斉定量することが可能となった. 少量(0.1〜0.5g)の脳組織(線条体, 大脳皮質, 視床下部)中のLEK及びMEKを内標準物質として〔Ala^2, Ala^3〕MEKを用いて定量した場合, 他の報告結果とほぼ一致する値が得られた.
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