1988 Fiscal Year Annual Research Report
初代培養肝細胞を用いる低級塩素化合物による脂肪肝生成・機構の解析
Project/Area Number |
62570977
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中澤 泰男 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所 (50013793)
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Keywords | 初代培養肝細胞 / 脂肪肝 / 四塩化炭系 / トリアシルグリセロール / 酸性リパーゼ |
Research Abstract |
初代培養肝細胞を用いた実験系において、トリアシングルセロール(TG)の代謝回転のパタンは培地中のグリセロール濃度、あるいは脂肪酸種およびその量などによっては影響をうけず、ただTGの量的変化のみが認められることを前年度明かにしたが、このパタンが培地中に加えた四塩化炭系(CCl_4)によりいかなる変動をうけるかを測定するために、肝細胞内TGを^3Hーグリセロールで3時間ラべルし、ついで^3Hーグリセロール、脂肪酸を除去した培地で培養し、放射活性TGの分解速度の測定およびその分解に関与していると思われる酸性リパーゼの活性変動を追跡し、CCl_4にあるTGの蓄積を経時的に検討した。 その結果、TGの放射活性は^3Hーグリセロール除去後、対照群では急激に減少するのに対し、CCl_4添加群では^3Hーグリセロールをとり除いたにもかかわらず、一且TGの放射活性が上昇し、CCl_4添加1時間で取りこみがピークとなり、その後徐々に減少するというパタンを示した。また、酸性TGリパーゼの活性は培地交換後、対照群ではやや上昇するのに対し、CCl_4添加によって著しく阻害され、両者の間に有意な差が観察された。これらのことは対照群では細胞内TGがリパーゼにより分解されて減少するのに対し、CCl_4添加群ではリパーゼ活性が抑制され、TGの分解が低下している可能性を示している。 以上の結果はCCl_4によるTG蓄積の原因として、従来言われてきたTGのVLDL_1としての血流への分泌抑制の他に、細胞内TGの分解抑制すなわち酸性TGリパーゼの活性低下も関与している可能性を示唆している。
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Research Products
(1 results)