1988 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病および老年痴呆の病態モデルと治療薬開発に関する実験薬理学的研究
Project/Area Number |
62570979
|
Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
渡辺 裕司 富山医科薬科大学, 和漢薬研究所, 教授 (10012642)
|
Keywords | アルツハイマー病 / 老年痴呆 / 線条体 / vincristine / アルツハイマー病態モデル |
Research Abstract |
1.アルツハイマー病態モデルラットの学習行動 ラットの両側線条体に硫酸ビンクリスチン2ug(2ul)を直接注入し、3および5日目にモリスの水迷路学習を行ったところ、記憶の獲得および保持機能共に著しく低下した。この時点ではまだ何か外見上の変化は認められなかったが、14日〜30日後に運動障害のため死亡した。 2.病態モデルラット線条体内の神経伝達物質の動態 (1)カテコールアミン類:ビンクリスチンを両側線条体内へ注入後、7〜8日目に線条体内のカテコールアミン含量を測定した。ドーパミンおよびその代謝産物3、4-dihydroxyphenylacetic acetic acid含量は軽度に低下していた。 (2)ドーパミン受容体:線条体膜D-2ドーパミン受容体と〔^3H〕-spiperoneの結合を測定した。ビンクリスチン注入後7〜8日目に受容体数の僅かな減少が認められた。 3.胎仔脳神経細胞の移植 ビンクリスチンによって損傷をうけた線条体内神経細胞群の神経伝達物質を同定する目的で、ラット胎仔の中脳黒質付近の神経細胞(主にドーパミンを含む)を、線条体へ移植する試みを行っている。しかし、まだ損傷機能を補償するまでには至っていない。 4.反省と今後の研究の展開 これまでの実験結果を総合すると、ビンクリスチンを線条体内へ注入しておこる脳内の損傷変化は進行性であると考えられる。従って、ビンクリスチンの注入用量を調節することによってその進行状態をかなり遅くできる可能性があるので、もう少しその点を追求した上で、抗痴呆薬に対する感受性を検討したい。
|