1988 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ増殖性疾患における血中可溶性分画アミノペプチダーゼ活性の上昇機序の解明
Project/Area Number |
62571035
|
Research Institution | Hamamatsu University, School of Medicine |
Principal Investigator |
菅野 剛史 浜松医科大学, 医学部, 教授 (70051406)
|
Keywords | 可溶性アミノペプチダーゼ / 白血病 / 悪性リンパ腫 / ウィルス感染症 / 麻疹 / 風疹 / 伝染性単核球症 |
Research Abstract |
可溶性分画アミノペプチダーゼ(EC 3.4.11.1C-LAP)は、肝、腎、リンパ節などの組織の可溶性分画に豊富に存在する酵素である。したがって肝炎を中心とした肝細胞の損傷で、この酵素活性が血清中で著しく上昇することが知られていた。しかし、この酵素活性の軽度の上昇が、肝由来と考えられる他のトランスアミナーゼの上昇を伴わない状態で、白血球、悪性リンパ腫などの血液悪性腫瘍の一部、伝染性単核球症、麻疹、風疹などの一部のウィルス性疾患にも認められることが明らかにされてきた。本研究の目的は、この肝疾患以外でのこのC-LAPの上昇の機序を解明することにあった。 昨年度の成果は、この酵素の精製と抗体の作成であり、抗体を用いた親知クロマトグラフィーによる酵素の精製が容易になった。一方、麻疹を中心として、ウィルス性疾患でのこの酵素活性の上昇を追跡出来た。 本年度の成果は、 1) 各種病態でのこの酵素活性の変動は電気泳動分析を中心に行われてきたが、特異性に多少の問題があることが判明し、新たな課題として他の血清中アミノペプチダーゼの阻害剤のスクリーニングを行い、この阻害剤を用いた特異性の高い測定法が開発出来たことである。これによりより確実に病態での酵素活性の変動が観察可能である (臨床病理、投稿中) 2) ウィルス性疾患のなかで、伝染性単核球症、麻疹では発症初期からのこの酵素活性の上昇が認められることが明らかとなった。LDHのアイソサイム分析の結果などとも併せて、この上昇した酵素活性はリンパ球由来であることの可能性が考えられた。 (AJDC 142、1988) 3) 血液悪性腫瘍でのこの酵素活性の増加がT細胞由来の腫瘍で頻度が高いことが判明した。 (準備中)
|
-
[Publications] 菅谷憲夫、菅谷剛史 他: 日本小児科学会誌. 92. 229-233 (1988)
-
[Publications] Kanno,T.;Azuma,Y.;Maekawa,M.: Enzyme. 40. 42 (1988)
-
[Publications] Azuma,Y.;Maekawa,M.;Kanno,T.: Enzyme. 40. 42 (1988)
-
[Publications] Sugaya,N.;Kanno,T.;et.al.: Amer.J.Diseases of Children. 142. 1352-1355 (1988)
-
[Publications] 谷口健,杉山正康,清水浩,東裕太郎,菅野剛史: 臨床病理.
-
[Publications] 菅野剛史: 臨床検査Mook. 31. 60-68 (1988)