1988 Fiscal Year Annual Research Report
体育の教授過程に関する研究(特に現象学的解析を中心として)
Project/Area Number |
62580081
|
Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
森 知高 福島大学, 教育学部, 助教授 (50114004)
|
Keywords | 授業分析 / 自己の意識 / 自己の身体 / 自己の運動 / 他者の意識 / 他者の身体 / 他者の運動 |
Research Abstract |
1.すでに昭和62年度の研究実績の概要においても報告した通り、体育の授業を研究するにあたっては、当該の授業の目標が明確に設定されていなければならない。本年度も、体育の授業分析に関する先行研究の検討と現象学的見地より設定した授業の目標へり到達過程を教師の自己認識と他者認識、および児童の自己認識の点から追求した。 2.本年度検討された体育の授業分析に関する先行研究は、カテゴリー法によるもの、態度測定法によるもの、ALT-PEシステムによるもの、の三種に分類できる。検討の結果は、批判的には次のようにまとめられよう。(1)カテゴリー法による授業分析は、その簡便さを計るうえでも、できるだけ少ないカテゴリーで、できるだけ質の高い内容を分析しうることが課題となる。(2)態度測定法による授業分析は、授業を学習者側からのみ把握することになり、教授-学習過程として成り立っている授業を明確に把らえきれるかという疑問が生じる。(3)ALT-PEスタイルによる授業分析は、ALT-PE値の意味するものが問われなければならない。いずれにしても、本年度検討された授業分析法においては、授業の目標は設定されていても、従来からのものであったり、あるいは、授業の目標設定はなされず、授業の型を検討するものであった。 3.本研究において設定された現象学的見地よりの目標に沿って実施された昭和62年度および63年度の研究授業より分析・抽出された因子は次の6因子である。自己の意識、自己の身体、自己の運動、他者の意識、他者の身体、他者の運動。これらは、教師、抽出児、観察者の自己認識と他者認識の記述より導き出された。 4.今後は、これら6因子に基づいた授業分析表の作成がなされ、その妥当性が、各学年および多種の教材にわたって検討される。
|