1989 Fiscal Year Annual Research Report
体育の教授過程に関する研究(特に現象学的解析を中心として)
Project/Area Number |
62580081
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Research Institution | FUKUSIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
森 知高 福島大学, 教育学部, 助教授 (50114004)
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Keywords | 授業内容 / 教授過程 / 授業者の意識 |
Research Abstract |
前年度までの検討の結果、体育の授業研究において、特に授業過程の研究において、授業者自身の意識より得られた資料にもとづくものはほとんど無いことがわかった。しかも、この資料にもとづいた研究の推進は、より良い授業を目指している事の一助になることも確認された。しかし、授業者自身による現実の授業における意識の変容を簡便に得る方法は当然確立されてはいない。今年度の研究の目的はしたがってより簡便なこの研究法の作成に向けられることになる。この為の授業研究の分析の結果得られた知見は、次の通りである。 ・抽出された授業者の意識の類型は、(1)予想、(2)観察・発見(3)関心・とまどい・不安・失望・怒り(4)評価・確認・判断(5)反省・対策・修正・計画(6)ねがい・要望であった。 ・これらの類型とこれに対応する行為の類型は授業者に固有のパタ-ンが見られる。このパタ-ンの蓄積は、教授過程の研究の重要な資料となりうる。 ・ねがい、要望は授業者の教育観を明らかにする手がかりとなる。 ・ねがい、要望が出現するのは、児童個人の運動技能、態度、感受性などから想起され、それぞれの向上を期待して出てくる。 ・評価、確認、判断の差はつけがたい部分もある。(今回は研究者の主観によった)が、学習者に関してのこれらの差は、いわゆる教師の子どもを見る目にあたるのではあるまいか。 ・評価、確認、判断には、学習者に関する以外のものとして、授業者自分自身、学習内容、学習環境、があげられる。 また、研究の当初のねらいとは関係ないが、今回のこころみで用いた方法が授業者自身の授業への振りかえりに効果があった。
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