Research Abstract |
老化促進モデルマウス(SAM)のうち, 比較的緩徐で, 正常な老化を示すR系(SAMーR)と, 急速に老化現象を示すP系(SAMーP)の若齢か老齢までの各々の加齢段階における, 筋ミトコンドリア中に存在するするTCA回路の諸酵素の一つであるクエン酸合成酵素(CS)と, 酸素ラジカル除去系諸酵素の一つであるスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)の活性を測定した. SAMーRは4,7,17,22カ月齢, SAMーPは4,7,13,16カ月齢においてと殺し, 表層部に白筋線維, 深層部に赤筋線維を含む大腿四頭筋を採取し, 上記の酵素活性測定に供した. 各々の月齢のマウスはTakedaらによる, 行動性, 皮膚, 眼, 脊柱の計11項目からなる老化度判定法により老化の程度が評価された. SAMーRは, 4及び7カ月齢では老化度評点は0であり, 17カ月齢では平均約4点, 22カ月齢では約6点であった. SAMーPは, 4カ月齢では0であったが, 7カ月齢ではすでに平均4点とSAMーRの17カ月と同水準の老化度評点を示した. さらに, 13,16カ月齢では, 平均18点と著しく高いスコアーであった. これらの結果は, SAMマウスに対する運動トレーニングの負荷は, R系では22カ月齢においても可能であるが, 生存率の著しい低下と相まって, P系においては13カ月齢以上では不可能であることが示唆された. 大腿四頭筋のCS活性は, とくに加齢による差は認められず, SOD活性についても, ミトコンドリア局在のMnーSOD,細胞質に存在するCu,ZnーSODいずれも, 加齢による顕著な差は認められなかった. マウスに対する有酸素的なトレーニング条件の設定に関しては, トレッドミルの搬入が遅れたため現在検討中であるが, トレーニングによるミトコンドリア諸酵素への影響を明確にするには, できる限り強い負荷と, 一定の期間(おそらく8週間程度)が必要であると思われる.
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