1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62860009
|
Research Institution | Faculty of Agriculture, The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野口 忠 東京大学, 農学部, 教授 (50011937)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 隆明 味の素株式会社, 中央研究所, 主任研究員
吉田 哲雄 伊藤忠飼料株式会社, 技術部長
内藤 博 共立女子大学, 家政学部, 教授 (80034445)
|
Keywords | ジゼロシン / 筋胃潰瘍 / リジン添加 / 魚粉 |
Research Abstract |
本年度の研究目的は、昨年度に工業規模で調製した対照イワシ魚粉、0.3%リジン添加イワシ魚粉、0.5%リジン添加イワシ魚粉について、製品中のリジンの有効性の栄養学的評価を行うこと、これらの魚粉について、強度の加熱を行った場合に、ジゼロシンの生成の有無を確定することにあった。 まず第1の目的については、複数の試験機関で検定が行われ、ニワトリヒナはいずれも良好な成長を示し、最上級品の魚粉に匹敵するリジンの有効性を示すことが明らかにされた。すなわち、添加されたリジンの塩酸塩は、十分栄養学的に利用しうることが証明された。 第2の目的については、通常すべてのイワシ魚粉が、筋胃潰瘍を引き起こす製品になる条件、すなわち130℃で3時間加熱し、この処理が、リジン添加魚粉におよぼす影響を解析した。その結果、0.3%添加、0.5%添加いずれの製品についても、対照魚粉に比べて、ジゼロシンの生成量は少なく、また実際にヒナの成長試験を行った結果でも、非加熱のプラス対照群に近い成長を示し、対照魚粉(リジン無添加)を加熱した群に比べて明らかに改善が認められた。それにともない、筋胃潰瘍の発生も明確に抑制された。 以上の結果から、本研究で明らかにされた低ジゼロシン魚粉の製造法は極めて有効で、価格的にも十分実用に耐えるものであると判断した。この製造法は、特別な高価な設備も必要なく、世界的に大きな問題になっている魚粉による筋胃潰瘍の防止に献貢しうると考えられる。
|
Research Products
(1 results)