1988 Fiscal Year Annual Research Report
コリン系およびNー置換グリシン系化合物の光合成促進作用の解析と増収剤としての開発
Project/Area Number |
62860013
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Research Institution | Department of Agricultural Chemistry, The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 昭憲 東京大学, 農学部, 教授 (90011907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 純 三菱ガス化学, 新潟研究所, 部長
新井 和夫 農水省, 野菜試験場, 室長
仲本 準 東京大学, アイソトープ総合センター, 助手 (30192678)
佐藤 文彦 京都大学, 農学部, 助手 (10127087)
近内 誠登 宇都宮大学, 農学部, 教授 (90007964)
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Keywords | コリン / Nー置換グリシン類縁体 / 光合成促進 / ベタイン / 増収 / 成育促進 / ATPase |
Research Abstract |
研究分担者の永井、横山らは、水稲および甘諸の成育に及ぼす影響を調べ、コリン処理により発根及び成育が促進されることを明らかにした。さらに、この成育促進活性は水分、低温ストレス下においてより顕著になることが明らかになった。研究分担者の新井らは、トマトの成育に及ぼすコリンの影響を調べ、成育および物質生産共に促進されることを明らかにした。またコリンが窒素源として植物に影響を与えているのではなく、最適曲線を画く生理活性物質として作用していることも確認した。研究分担者の近内らは、コリンに弱い植物ホルモン様活性を見いだし、ブラシノライドおよびIAAとコリンとの同時処理によりそれぞれの植物ホルモン活性が増加することも確認した。これら化合物の作用機作解明のため、研究代表者の鈴木らは、^<14>Cコリン類縁体を合成し小麦における代謝を調べた。その結果、コリンはベタインへの代謝とホスホリルコリンからホスファチジルコリンへの代謝を受けることが判明した。アリルコリンはホスホリルアリルコリンからホスファチジルアリルコリンへの代謝だけを受けべタインへの代謝は受けないことが明らかになり,またベンジルコリンはなんら代謝を受けないことが明らかになった。この事は、コリンおよびコリン類縁体の代謝産物が光合成活性を示しているのではないことを示唆する。一方、研究分担者の仲本は、C_4回路の酵素に与える影響を調べたが、コリンでは顕著な促進効果は認められなかった。研究分担者の佐藤は、明所下で光合成活性を示す光mixotrophic細胞にコリンを投与した結果、成育促進効果が認められ、これら細胞の光合成電子伝達系も促進されていることを明らかにした。また、鈴木らがATPase(CF1 protein)の活性に与える影響を調べた結果、Nーアリルグリシンでは効果は認められなかったが、コリンおよびコリン類縁体処理では約50〜100%の促進効果が認められた。
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