1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62860025
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 周久 東京大学, 農学部, 教授 (30011828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 武夫 宝幸水産, 食品総合研究所, 研究員
岩本 宗昭 島根県水産試験場, 利用化学科, 科長
安部 宏喜 共立女子大学, 家政学部, 助教授 (80086727)
山中 英明 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (20092596)
渡部 終五 東京大学, 農学部, 助手 (40111489)
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Keywords | 活けじめ / 魚類筋肉 / ヒラメ / マダイ / ブリ / 死後硬直 / 筋原線維 / ATPase活性 / 筋形質 / クレアチン・キナーゼ / クレアチンリン酸 / ATP / フルクトース1,6ービスリン酸 / グルコースー6ーリン酸 / 乳酸 / 活魚輸送 |
Research Abstract |
わが国においてはマダイやヒラメなどの高級魚は活魚で輸送されることが多い。他方、市場では活けじめ処理した死後硬直前の鮮魚は、活魚と同等な価値で取りひきされる。しかしながら魚類の死後硬直の進行と貯蔵温度の関係には不明の点が多い。本研究はマダイやヒラメなどを対象にしてこの点に検討を加え、死後硬直の遅延を計り、活魚輸送より経済的で大量輸送が可能な"活けじめ輸送"の実現を目指したものである。 1.マダイやヒラメとならぶ有用魚類のブリ(ハマチ)を活けじめ後、直ちに0°および10℃に貯蔵したところ、両貯蔵温度ともに2時間以降に硬直し始めた。他方0℃貯蔵では9時間後に、10℃貯蔵では16時間後に完全硬直に達し、マダイやヒラメの場合と同様に、10℃貯蔵で死後硬直の進行の遅くなることが明らかとなった。さらにクレアチンリン酸やATPの分解速度、また乳酸の蓄積速度は、10℃貯蔵で小さかった。 2.ヒラメおよびマダイ普通筋につき、クレアチン・キナーゼ活性を測定したところ、測定温度の低下に伴って低下した。なおクレアチン・キナーゼは、両魚種とも筋形質タンパク質中の主成分と認められた。 3.ヒラメ普通筋筋原線維につき、Mg^<2+>ーATPase活性に及ぼすCa^<2+>の影響を調べた。その結果、0℃において何らかの理由で筋細胞内のCa^<2+>濃度が増大し、Mg^<2+>ーATPase活性が賦活されることによりATPの消費速度が大きくなることが示唆された。 4.ニジマス普通筋中の解糖系中間体を調べたところ、グルコースー6ーリン酸、フルクトースー1,6ービスリン酸の各含量が高かったが、死後の変化には一定の傾向がみられなかった。 5.活けじめ天然マダイにつき、大阪魚市場への輸送試験を実施した。ヒラメの場合とは異なり、10℃、6時間輸送でも硬直がみられ、輸送温度の違いによる市場評価の差は明確にできなかった。
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