1988 Fiscal Year Annual Research Report
エキシマレーザーによる血管形成術の開発とその臨床応用
Project/Area Number |
62870050
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Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
上野 明 山梨医科大学, 医学部 (60010162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 甫 山梨医科大学, 医学部, 講師 (90143445)
神谷 喜八郎 山梨医科大学, 医学部, 講師 (90111509)
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Keywords | 血管形成術 / レーザー血管形成術 / エキシマレーザー / 閉塞性血管病変 |
Research Abstract |
〈1〉前年度のXeclエキシマレーザーによる研究に続き本年度は最も効率の良いKrFエキシマレーザー(浜松フォトニクス:C-3228、使用ガス:Kr、F、He)を用い正常血管壁と動脈硬化性病変に対する照射効果を調べた。レーザー光をプリズム(シグマ光機:PRSQ-30-10H)とレンズ(シグマ光機:SLSQ-30-100H)を通して照射野に導いた(照射出力10mJ、繰り返し周波数10Hz/秒)。照射により血管壁に鋭利なレーザー孔が生じ、辺縁は非常に平滑で炭化・浮腫・発赤などを認めなかった。組織学的にも熱変化は殆ど認められず、Xeclよりも鋭い辺縁を示した。また動脈硬化性病変に対しても正常壁と同様な鋭利なレーザー孔が生じ、コレステロール沈着や石灰化病変でも十分な破壊効果を示した。血栓閉塞したヒト総腸骨動脈標本では5分間の照射により十分な拡張効果が得られた。〈2〉直径0.6mmの紫外線用石英ファイバー(三菱電線:ST-U600F-SY)を接続してパワーメーターで各部における出力を測定し、透過率と連続照射時の減衰率を検討した。入射孔で1.8mJ、出射孔で0.4mJであり透過率は22.2%であった。また照射開始20分後のファイバー先端出力は0.3mJとなり減衰率は25%となった。〈3〉KrFエキシマレーザーは硬化性病変にも十分な破壊能力を有し、周辺に与える影響はXeclよりも軽微でレーザー血管形成術には好適なことが示された。しかし石英は波長300nm以下の光は透過が悪く、波長248nmのKrFエキシマレーザーでは臨床応用は難しい。透過率の良好な石英ファイバーの開発が原理上困難であることからすると、照射効果は落ちるが、もう少し波長の長いエキシマレーザーの使用を考慮せざるをえない。この観点から、次年度では波長350nmのXeFエキシマレーザーによる実験を予定している。エキシマレーザーの血管病変に対する照射効果の高いことは、これまでの実験で実証されているので、実用化にむけて検討を加える予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 上野明,岩崎甫,小林正洋: 臨床成人病. 18. 118-119 (1988)
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[Publications] 岩崎甫,小林正洋,上野明: 脈管学.
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[Publications] Masaru Iwasaki;Kihachirou Kamiya;Akira Ueno;Wilhelm and Raphaela Waidelich,ed.: "Fundamental research in laser angioplasty(1):Effects of Nd:YAG,Argon-ion and Excimer lasers on human aortic wall with or without atheromatous plaque." Springer-Verlag Berlin, 451-454 (1989)